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今回お世話になった先生方 PART1(先生方は2チームに分かれていて、ひとりの患者に担当医と担当看護師が決まっています)。別チームの先生方はpage4をごらんください。

K先生(O型)。30代半ばにして慶応病院などを経て、駒込病院は4か所目。「手術が多い病院に恵まれたので、同世代では手術をした数が多いと思う」とのこと。1年前の写真では、めがねをかけていないが、手術をするときにはめがねをかけるそうだ。本人の希望で「K先生」。
<追記>2005年7月川崎の病院へ。

I先生(A型)。胸部外科は8月から。シニアレジデントとして3年間の研修のために沖縄県からやってきた。沖縄でも実績を積んでいる32歳。K病院には6つの外科があり、現在2科目。「沖縄に名医あり」といわれることを期待!!病院のHPで、レジデントとして紹介されている。  
A先生(AB型)。内科のジュニアレジデントとして1年経過し、03年9月より2か月間外科研修。笑顔が素敵です。11月には他科へ。

03/9/7(日)
気分転換

 髪の毛をカット。外泊目的は「気分転換」としたのだが、これこそまさに「気分転換」だよね。さぁ、夜は楽しい病院生活へ逆戻り。

 いまは6人部屋に4人しかいないが、そのうち3人に週末外泊許可が出て戻ってきた。「病院に戻るの、いやになっちゃうねー」という話で一致した。外に出ればごく当たり前の生活が送れるのに、病院に戻ればがん患者として治療を受けなければならない。

 夜は長い間個室に入っていた人が亡くなったようで扉が閉ざされていた。こういう現実にぶつかると、ここは病院なのだと改めて思い知らされる。
 消灯後、高齢の女性の患者さんがトイレでそそうをしたようで、患者さんと看護師さんのやりとりが大声で響いていた。トイレの外で振り回される看護師さんは大変そうで、その後夜中だというのにトイレの掃除もしていた。こんんなとき患者さんはすっかり落ち込むものだが、恐縮しつつも「すみませんね」と元気な声で詫びているので、ホッとした。病院ではどんなハプニングがあるかわからないが、それに対処していくのだから看護師さんたちは辛抱強い。この日はかなり遅くまでパタパタとスリッパの音が行き交っていた。
 
 眠れない日はいろいろなことが重なるようで、同じ病室の人が夜中の1:30すぎに、ドタンと音をたてた。翌朝聞くと、トイレに行こうとしたが、睡眠剤を使っていたので朦朧となってベッドから落ちたのだそうだ。その後もビニールのようなカサコソ音をひとしきりたてたので、眠れなくなった。病人になると、どうしても自分のことだけを考えがちになってしまうのが残念だ。ベッドの向かいにいるMさんが、退院した仲間からも慕われるのは、姉御肌だからだと思っていたが、常識人だからだと改めて思った。
 消灯後に看護師さんが来て、定期的に懐中電灯でカーテンの隙間からのぞく。そういうときはサッと寝たふりをする。見回りが多いなと思ったが、翌朝聞いたら1時間ごとだそうだ。


03/9/6(土)
ブラックジャックによろしく

 ●マッサージ
 現在、同室の人は4人。そのうち2人は金曜日のうちに外泊許可が出てしまったので、私とKさんの2人だけ。今朝Kさんはがんばって朝食の9割を食べたそうだ。
 
 上半身起きあがっていたので、手と足をもんであげた。自分でやって気持ちのよいレベルのもみ方なので、これぐらいならば素人でも許されるだろう。回診時に先生にきいたらOKで、S先生は手のもみ方の見本まで示してくれた。医者もマッサージの基本は教わるのだそうだ。
 Kさんは全身やせ細っているのに、足がむくんでいてびっくり。30分くらい話をしながらもんだら、終わった後に「気持ちがいいです」と喜ばれたので、さらに延長した。自分が病気でありながら、人様によいことをするのはなかなかいい気分だ。そのことを言ったら、「何か宗教でもやっているんですか」とKさんに聞かれたから、「いいえ、やるのならば自分教です」と答えた。心の奥でまず自分を信じなくてどうやって治せるのか。Kさんもあきらめないでリハビリに励んでほしいなぁ。

 ●11時から病院の外へ
 8日からの週は副作用の様子見となるので、外泊などは及びもつかない。今回の外泊は最後のお楽しみといったところ。
 帰宅して新聞を見たら、「ナニワ金融道」の青木雄二さんが5日に肺がんのため死去したというニュースがあった。58歳だって。今年5月初めに入院して、抗がん剤治療だけをして約4か月で亡くなったのだから、相当病状は進んでいたのだろう。それでも、咳が止まらなくて最初は風邪かと思っていたというのだから、肺がんは恐ろしい。

 ●ブラックジャックによろしく
 タイミングよく、関係先の人からの電話で、「ブラックジャックによろしく」を読んでおくといいですよ、ショックを受けるかもしれないけどといわれ、早速5-6巻の「がん医療編」を買い込んできた。「ナニワ金融道」と同じくモーニングに連載されているのをまとめたものだ。K先生が「近頃話題」「漫画にも出てくる」といったのは、たぶんこうした漫画だろうと思っていたが、案の定で、抗がん剤のジェムザールが頻繁に出てくる。フーン、膵臓がんに効くんだ、10年前に自由診療だと月に200万円以上かかったのか!!などと驚いてしまった。それにしても、絵がリアルで暗すぎる。
 
 医療の問題点をえぐるというパターンだろうが、これらの問題点はがんの関連図書を読んでいれば把握できるし、漫画だととりわけ強調されすぎている気がする。日本に内科腫瘍医がいないということだってどこかに書いてあったしなぁ。これがまたドラマ化されるとセンセーショナルに「がんの怖さ」だけを描くことになるのだろう。結局、救いようがないということになる。こういう漫画を読むのは若者から中年世代だろうが、彼らがタバコをスパスパ吸いつつ、今の医療はね〜などというのはちゃんちゃらおかしい気がする。
 
 結局、がんとは、染色体が傷ついている細胞が本来死ぬはずなのに死なずに増殖するのだから、それを殺すことができればいいわけだ。いろいろな代替療法や健康食品などを見ても、その作用ができるとは思えない。もし効き目があれば、どの病院でもメシマコブやアガリクスなどを用いるだろう。
 
 だから、あれやこれや読んで知ったとしても、結局は、現在の医療に任せるしかないと思ってしまうわけ。

 そういえば、9月6日付日本経済新聞に「肺・前立腺がん 切らずに治療」という記事が出ていた。この装置のことはテレビやインターネットを通じてすでに知っていたが、こうした装置の小型化に文部科学省が乗り出すというのが不思議だった。どうして厚生労働省ではないのだろう。


03/9/5(金)
2度目の抗がん剤

 ●昨夜の出来事
 昨夜は8時頃に個室の男性患者が一人亡くなった。昨夜、看護師さんがバタバタと出てきてドアをパタンと閉めるのに行きあって、奇妙な感じがしたが、亡くなると病室を閉めるらしい。でも、今日はベッドがもぬけの殻になって、何事もなかったように静かな部屋になっていた。また、何事もなく手術を終えた人たちが入ってくるのだろう。私自身は元気だけれど、そうだ、ここは病院なのだと再認識した。
 同じ病室のKさんは入院してから寝たきりになってしまったけれど、そうなると寝返りをうつこともできない。消灯してからも看護師さんは交代でいろいろな看護をしにきている。この日はなかなか寝付かれなくて時計を見たら11:40だった。その後、kさんのところで看護の音がするたびに目が覚めたが、朝2:00、3:20だった。その後はぐっすり寝てしまったけれど、看護師さんたちは呼び出しベルが鳴るたびにきていたのだろう。病気だけでなく、食事の世話、下の世話、そして時には「体を動かさないとだめ」と叱咤激励する。本当に、ため息が出るほど大変な仕事だ。看護師パート時給1650円と出ていたが、これでは少なすぎると思う。

 ●オーダーメイド医療
 朝のNHKニュースで「オーダーメイド医療」(参照:文部科学省のオーダーメイド医療に関するページ)のことを放映していた。遺伝子のことを研究するのも医者だが、どちらかというと研究者に近いのだろう。いつ実用化されるのかはわからないが、そういう研究が始まっているのはうれしいニュースだ。

 ●2回目の抗がん剤治療

4-1 9:45-(30分) 生理食塩水 ヒカリ50ML  30分ずつ点滴の予定だが、45分ぐらいの感覚になった。
4-2 10:15-(30分) 同上 セロトーン50ML
4-3 11:00-(30分) 抗がん剤ジェムザールの水溶液100ML(ぶどう糖5%)
4-3 11:43-13:00(60分) ヴィーンD 500ml

 伊志嶺先生の説明によれば「白血球が下がらない人もいるが、この薬は白血球が下がる人が多い。下がらないからといって薬が効かないとは限らない。ただし、この組み合わせできかないときには別の組み合わせになるということもある」とのこと。これがオーダーメイド医療であれば、予測がついているから、ひとつひとつ試していって効果を確かめるという手間が省けるのかもしれない。先生は遺伝子研究には興味がないのですかと聞くと、「私は現場の医者ですから」。うーん、私も現場の仕事のほうがおもしろいなぁ。

 ●夜のウォーキング
 
相棒miyaが夕方見舞いに来てくれるので、一緒に病院を3周する。朝もそうだが、夕方も裏の出入り口はタバコを吸っている人たちでいっぱい。病院内に喫煙室もあるが、タバコを吸う人優先でなく、吸わない人のために「インターネットルーム」でもこしらえてほしい。そうすれば自分の病気のことをもっと調べたいと思う人も多いだろうに。
 「性格もよくて、そこそこ頭もよくて、社会協調性もあってという10人中5人まではがんにならない確率にしてほしいなぁ」とmiyaにグチを言ってしまった。

 ●がんでたたかう人々
 夜、日本テレビ系列で「救急病院の治療」について特集をしていて、11歳の小児がんにかかった少年が肺に転移し、「最後につらい治療をするからね」と言われて受けたのが抗がん剤治療だった。4剤を5日間連続投与するというもので、副作用はテレビで見ていてもそれはそれはつらそうだった。高熱、吐き気、頭痛。でもその子は立派にたえて入院596日目に退院していった。母親が母の日の贈り物をもらった日に父親に電話をする。「こんなにええ子が、こんな病気にならないといけないのか。どんなことがあってもあの子のことは死なせてはいけない」。途中から見たのだが、おそらく関西の病院だったのだろう。こうした思いはどこの家族でもあると思う。

 夕方検温に来た看護師さんにこの話をしたら、「がんは長くつきあっていく病気になりましたね」と言っていた。私は今日抗がん剤を打ったけれど、その日に気持ち悪くなる人もいるそうだ。副作用の吐き気といっても患者により「ムカムカする、気持ち悪い、吐く物はないけど吐き気がするなど、人、薬によりまちまち。共通しているのは、気持ちが悪くなることと、血液のデータが下がるとのこと。わかっていて待つのは残り火を燃やしているような気分になる。

 ●10日で1.5kg減
 朝体重を量ったら、61kgだった。入院時には62.5kgだったから、10日で1.5kg減。病院食のおかげ?体温は朝は36.4度、昼も36度くらいなのに、夜が35度台になる。34度台だと大変だが、35度台ならばOKと回診時に先生方から言われた。


03/9/4(木)
白血球3900

 朝採血をした。伊志嶺先生が「今日血液をとったので、その経緯を見て、土・日外出できるかどうかを決める。2週目は副作用が出るかもしれない。来週は退屈するかもしれないが、経過を見るのも治療のうちだから」と説明してくれた。
 
 採血の結果は看護師さんが昼頃教えてくれた。白血球3900、血小板19万9000、赤血球440。まだ十分安全圏のようだ。このあと先生が来て土・日曜は外出できると思うが、再来週になると白血球が下がるので、その場合にはあげていく手だてをとるというような説明。外出するときにも、うがいをするようにしてくださいと注意を受けた(現在もイソジンを持ち込んでしょっちゅううがいをする習慣をつけている)。
 
 ここでちょっと世間話。伊志嶺先生が外科を志したのは「自分の手で治してあげられるから」という理由からだそうだ。出身が沖縄県と聞いて「なんだ、クールそうに見えて本当は明るい性格でしょ」というと、「沖縄県の人はおおらかな人が多いけれど、外へ出ると引っ込み思案になるのかもしれないですね」と言っていた。駒込病院はいい先生が多く、技術も高いので勉強になるとのこと。

 ●火星発見
 病室から初めて火星を見ることができた。きっとこれから火星の話を見聞きするたびに、「あの日あのとき病室で」と思い出すのだろう。


03/9/3(水)
病院の一日

 病院にいると、時間をもて余すぐらいだが、日頃できないことができるのがうれしい。なんたって朝は6時起床。看護師さんが検温に来て酸素量を計った後、病院の外歩きに出る。同室のMさんがいるときには1周だが、一人のときは気分に応じて2〜3周。見知らぬ患者同士でも「おはようございます」と声をかけあうと気分がよい。
 9時半頃から先生の回診。
 昼は0:30。2時に検診があった後はの〜んびり過ごせる。夕食6:30。この後6:45〜7:15までウォーキングに出る。30分あれば病院の外を3周できる。7時頃から夜の検温と回診があるから、間に合わないこともあるけれど、ドンマイ。
 
 ところで、医療事故のニュースを見つけたが、病院が病院だけに、「東京大学病院よ、おまえもか」と思った。病院ランクでは高い位置にくるのではないだろうか。 

東京大学病院の輸血ミス
・東京大学病院(文京区)は1日に手術を受けた20代女性患者に輸血した際、血管内に空気が混入し、重体に陥ったと発表。
・1)専門医が装置をセットするときに空気遮断を十分にしていなかった可能性がある、2)研修医が装置を誤って使った、という2つのミスが重なった。


03/9/2(火)
まだ元気

 やった〜。特に副作用も出ず、元気そうだからというのでまたしても外泊許可が出た。
 それにしてもこれから体内でどんな変化が起こるのだろう。恐いお化けが出ることがわかっているのに、入場料を払って幽霊屋敷に入るような気分だ。
 今日から新任の女医、飛鳥田菜美先生も回診に加わった。ホームページを作成していることがみなに伝わってしまったので、写真もすんなり撮影させてくれた。今日から2か月いますとニッコリ。
 外泊理由は「気分転換」としたが、戻ってからはひたすらホームページづくり。自分の記録にもなるし、他の人の参考にもなると思って書いているのだが、入院期間も1年でずいぶん早くなっているみたいだし、あまり参考にならないかもしれない。
 
 でも、先生方の話とその内容は、私にはとても参考になる。東海大医学部が言葉遣いを学ぶ授業を始めるそうだが、横柄な医者もいるだろうからよいことだと思う。その点、駒込病院の先生方は丁寧に説明してくれるからわかりやすい。それに、いままでの話を読んでくれた人はわかるだろうが、何回も繰り返し話す。患者は中高年が多いから、たぶん何度も説明してやっとわかるのだろう。外来で通っていたときに、入院時に一緒だった人と出会って話したことがあったが、同じ話が2〜3回ループした。この調子で外来を受けたとすると、先生はそのたびに根気強く説明するのだろう。

 大事な話でもメモを取らない患者が多いが、よく先生の話が理解できるなぁと感心してしまう。先生と患者の会話を見ていると、かなり繰り返しがある。先生は忍耐強くないといけないとつくづく思う。
 私も、違う先生に同じ質問をして答えが違っていればいいなと期待したこともあったけれど、治療という意味では意志統一されていることがわかった。「あなたのがんは間違いでした。帰っていいです」なんて、誰も言うはずはないよなー。
 
 ところで、下記のニュース。
 医者もやはり人間だということなのだろう。以前なら家庭や学校で身についたはずの基本的な言葉遣いができない医師が増えているのだそうだ。だから、苦情も寄せられる。このため、若いうちに学習しようということで考え出されたらしい。この講座を考えた人は「医療事故も訴訟まで発展するのは患者さんとのコミュニケーションがうまくいっていない場合が多い。昔の医師のように『私に任せておけ』という態度のままではいけない」と話しているそうだが、医者の態度がよいからといって、訴訟が少なくなるとは思えない。そもそも話し方の基本とは相手への思いやりであって、その心があれば自然に話し方には表れてくると思う。要は、医者でも誰でも人間性を磨いて、相手の話をよく聞くことだと思う。講師の先生は「コミュニケーションは相手が主役。そうした基本を身につければ、ドクターハラスメントなどの問題も起こらない」と期待しているそうだ。

医師の卵に「言葉遣い講座」 東海大がアナウンサー招き

 東海大医学部(神奈川県伊勢原市)は9月から、NHKアナウンサーらを講師に招き、言葉遣いを学ぶ授業を始める。患者さんの話を聞かず一方的に語ったり、「ため口」で話したり、会話の基本を知らない医師が増えており、「根本治療」が必要と判断した。 
 授業の対象者は1年生85人。1回3時間の授業を集中的に5回、計15時間受ける。会話をテープに録音し自分で聞くなど実践的な内容で、テーマも医療にとらわれず、あいさつや世間話の仕方など基本的なことから学ぶ。以下略。 (朝日新聞2003/08/21) 


03/9/1(月)
退屈〜

 朝から空気冷涼。眠い眠い日だった。私だけでなく、みんなが眠いと言っていた。朝、採血。後で知ったのだが、昼頃には結果がわかるので、看護師さんに聞けばよいとのことだった。患者さんの先輩に聞くのが一番よくわかる。
 I看護婦長さんが「眠いときには寝て、体力を温存したほうがいいですよ」と言ってくれたので、午前中はベッドの上でダラダラしていた。
 回診のときには伊志嶺先生が来て、「何か希望はあるか」と言われたので、「この間にシミを治したい」と答えたが、皮膚科はあるがその方面はやっていないとのことだった。うーむ、治療をしている3週間でダイエットし、シミをなくして美しくなるという計画をたてていたのだが、計画倒れになるようだ。
 「伊志嶺先生は(血液型)A型?」と聞くと、当たりだった。すご〜くまじめな感じだけど、ヘアにはえらく気を遣っていてビシッと決めている。結構ユーモラスな性格かもしれない。
 
 ●Sさんがお見舞いに
 
仕事の関係先の女性Sさんがお見舞いに来てくれた。Sさんも腰痛もちなので、腰痛体操を教えてくれた。病室でやるにはもってこいの体操ばかり。やらなくちゃ。


03/8/31(日) 
病院へ戻る

 昨夜はいつもより遅く寝たのに、朝はピッタリと6時に目覚めた。ヒャ〜、たった4日しか病院にいないのに、もう病院での習慣が身についてしまった。でも、外の世界はいいなぁ。病院の1日はメチャメチャ長いのに、外へ出るとスピーディに1日が経ち、夜7時半には病院に戻らなければならなかった。


03/8/30(土)
外泊許可

 ●ウォーキングの出来事
 朝6:40から、7時15分まで駒込病院の周りを3周した。私は病院裏口を出てから右回りだが、左回りにウォーキングしている人もいる。短パンをはいてトレーニングルックで歩いている男性がいて、「何周するんですか」と聞くと「朝夕5周」と答えてくれた。2周目にすれ違ったときに、「いつごろ退院なんですか」と聞くと「まだ長いんです」と残念そうに答えた。この人も手術後には見えないからやっぱり抗がん剤なのかなぁ。

 病院の裏手に犬がつながれていた。タバコの吸い殻を掃除しに来ている人が飼っているのだという。
 「この犬は3度も捨てられているから、私の姿が見えないと探すんだよね。また、捨てられてしまうのではないかと思っているから。吠えたら出入り禁止といわれているから、おとなしくしているように言い含めてるんですよ。おたく入院してるの?病人に見えないね。私も3年前にここで大腸がんの手術をしてね」
 ふーん、人生っていろいろだなぁと感心した。健康なときには、道を歩いてすれ違う人はみんな健康だと思っていたが、がんを患っていたり、様々な難病にかかっていたりする人もいるのかもしれない。

 ●大量の水は不要
 8:00 K先生が「じゃ、行ってきて(=外泊許可)ください」と言いにやってきた。今日から先生は1週間の夏休み。
 ――来週、外を歩いたりするのはかまわないですか。
 「1週間目くらいは特に副作用は出ないはずなので、病院の外を歩くだけというのはかまいません。白血球が下がってしまったら、マスクをしてくださいとか病棟外に出ないでくださいとの指令が出るかもしれませんが、現在は全く平気です」
 ――インターネットで抗がん剤を打っているときには、お水をたくさん飲んだほうがよいと書いてあったのですが。水を飲みすぎて気持ちが悪くなるのではないかと思って……。
 「この薬は全く心配ありません。がんも種類がいっぱいあって、一般的に使われる薬が腎臓の機能を低下させるので、そのように言われるのだろうが、この薬はそういうことはないのでお水を大量に飲む必要はありません」
 
 9時すぎ回診。H先生がやってきた。「先生、3週間くらいの入院の間に3kgくらいダイエットしちゃだめ?」「食事を食べないなんていうのはだめですね」「じゃ、運動をしっかりしてというのは」「それはまぁ、いいでしょう」
 本人はおおまじめだけど、あきれられたかも知れない。
 
 昼食前に帰宅。退院後スムーズに仕事に入るための段取りをする。夜は11時頃に寝たけれど、9時頃に「病院ならば今頃消灯なんだよなー」と思った。病院に行くと、フン詰まりになってしまうので、ごちそうを食べるのはやめて、玄米ご飯、野菜中心のご飯にしてもらった。


03/8/29(金)
いよいよ抗がん剤治療
  

 ●座薬について説明
 8月27日に手術をしたSさんが2日後には大部屋に移ってきて、管もとれたことだし、9月1日には退院してよいといわれたそうだ(本人は一度くらい病院でお風呂に入ったりして確認したいとのことで9月3日まで退院を延ばした)。それってたった1週間で退院できるということ!? 医学の進歩というか、方針の変更というのか、スピード退院になっていてビックリ。といっても、この人は肺がんといっても発見が早く、手術も1時間ですんだそうだから軽かったのかもしれない。
 ほかにも、肺がんではないが、手術をしたその日に大部屋に移ってきて、3日後には退院していった若い人がいて、またまたビックリ。

 ところで、手術は軽いといっても傷は痛むらしくSさんも痛み止めの座薬をもらっていた。自分で入れてみますかと聞かれて、入れ方の説明を受けていた。誰もが座薬を入れたことがあるわけではないので、やはりちゃんと説明してほしい。
 「入れただけでは出てきてしまうので(指の)一関節分くらい中に入れてあげないと……。いまちょっとやってみますね。私たちは潤滑剤を使うけれど、もし入りづらいと水を浸けるとうまく入ります」
 (それはやわらかいのかと聞かれて)
「やわらかくないです。かたいけれど腸の中で溶けてジワジワと効いています。手で握っていると体温でやわらかくなってしまうから家でやるときにはティシューでもってやればいいです」
 ここまで親切な説明だといいよね。

 ●抗がん剤治療開始
 伊志嶺先生が通りがかって「(今日抗がん剤を入れて)土曜日朝に点滴をするかもしれない。気持ちが悪くなったりということがなければ外泊をしてもよい。まれに感受性が高い人は気持ちが悪くなることがある。血液が下がってくるのは1週間後くらいから」と説明してくれた。

 朝10時15分、いよいよ治療開始。伊志嶺先生が左腕の血液に針を刺してくれた。手を探っていたときにはヒヤヒヤしたが、さすが先生、一度で決めた。

 「はい、いまから○○さんの抗がん剤一日目が始まります」とMさんがベッドサイドに来てからかった。

5-1 10:15-10:55(30分) デカドロン50g アレルギー反応を防ぐ
5-2 10:55-11:30(30分) セロトーン1A 吐き気止め
5-3 11:30-12:30(30分) パラプラチン100cc?
(何も書いていないが、黄色い太いテープは抗がん剤とのこと。なんかコワ〜)
 
5-4 11:30-12:30(60分) ヴィーンD 500ml ポカリスウェットと同じようなものだと看護師さんから説明を受けた
5-5 12:30-13:30(60分) ジェムザール  

 各点滴が終わり看護師さんを呼ぶと、次の薬に代えてくれる。抗がん剤治療というのは毎日毎日治療を受けて、副作用が出てゲホゲホになるのかと思っていた。テレビのドラマはちょっとオーバーなのかもしれない。初日は意外にあっさりと終わってしまった。
 そういえば、2003年6月10日北里大学の望月先生が書いているコラム「薬のABC」という欄に「抗がん剤を投与すると、小腸粘膜の細胞からセロトニンという物質の分泌が促され、セロトニンが腸管壁の粘膜にある受容体に左右すると強い吐き気やおう吐が起きる。これを押さえるのが、最近開発された「オンダンセトロン」などセトロン系の受容体拮抗薬だ。この薬はセロトニンが受容体に結合するのを阻んでおう吐を押さえる。効果は強力で、いまやがんの化学療法になくてはならない薬になった」という一節があった。セロトニンとセロトーン、わかりやすい薬品名だと思った。
 
 ●森山先生の思い出話
 
回診がすんだ後、Mさんが森山先生のことを話してくれた。森山先生が駒込病院をやめる2日ぐらい前にたまたま会ったとき、「宮崎へ帰ります。Mさんも元気になったら、宮崎へ遊びに来てくださいね」と声をかけてくれたという。
 森山先生は主治医でなくても、いつも声をかけてくれた、先生が回診に来るととても雰囲気が明るく(自分も)元気になったと話していた。私の場合も、他の診療に来ていたときに、先生のほうから外で声をかけてくれたっけ。「森のクマさん」という感じだったよね」と患者Fさんが表現していたがイメージがピッタリ。


03/8/28(木)
女性は明るい

 夜は9時消灯だが、私たちの病室のすぐ前が洗面所で、9時すぎにもガーガーうがいをしているウルサイ患者がいるので、昨夜は寝付きが悪かった。といっても夜10時くらいには寝ていたらしい。朝は6時起床なのに5時頃から洗面している。病院の一日はたっぷりあるのだから、時間のルールぐらいはしっかり守ってほしいものだ。
 朝は同室のMさんと病院の周りを1周した。

 腎臓の経過がよいので、抗がん剤はふつうの量を入れられることになったと報告を受けた。腎臓が弱い人だとふつうの量を入れられず、量を落とさなければならないそうだ。もし、なんともなければ土・日曜に帰ってよいとのこと。 

 男性の患者さんたちは暗いように見えるが、男性同士はあまり話をしないのだろうかという話になった。女性のほうが明るく、元気だねという話で盛り上がった。お掃除に来る女性が「頑張ってくださいと言っていても、自分がなったらどうしようと思う」と言っていたけれど、その気持ちもわかるなぁ。でも、手術を受けて肉体的につらい人は別として、がんの治療を受けている人たちは明るい。

 そういえば、朝昼晩検温をした後、指の先で酸素の量を計るのだが、あの酸素計がどうやって数字をはじきだすのか不思議だった。看護師Tさんが「あれは爪の色で見ている。だから、爪にマニキュアをしていたり、爪が白癬菌で真っ白くなっていたりすると計れないんですよ」と教えてくれた。医療関係者にとっては当たり前のことが患者にはとても不思議に思える。


03/8/27(水)
再入院

 10時に入院。1F受付まで迎えにきてくれた看護師Tさんがエレベータを降りるときに「12階でござりまする」と言ったのがおかしかった。この人は後からいろいろ説明してくれたときにもひょうきんで楽しい人だった。不安な気持ちを抱いてくる人にとってはこのぐらいの明るさは救いかもしれない。
 
 入院の注意として尿を24時間ためること、今日はレントゲンをとること、それにより明日または明後日から治療に入れるだろうとのことだった。今回はK先生、伊志嶺坂口先生の3人体制。もう一人胸部外科には西村先生と交代した堀尾先生がいる。
 早速、伊志嶺先生が挨拶にきて今後の治療などについて説明してくれた。第一印象は若くてまじめ、クールそうな印象だ。

 ●伊志嶺先生の説明●
 「白血球というのは、免疫の機能をつかさどっていて、外から黴菌やウイルスに感染すると白血球が外からの異物に対して働いてその人の体を守っているんですよ。これが少なくなってしまうと、その人の免疫力や体の抵抗力が少し弱くなって、ちょっとした菌に感染して肺炎になったりする可能性がある。あと赤血球も少し下がる可能性がある。これは貧血になったりする。血小板は血のかたまりを助ける働きがあるのだけど、それが少なくなると弱くなって血のかたまりが弱くなって、逆に出血しやすくなる場合がある。これは赤血球、白血球、血小板は人間の骨髄、背中のほうでつくられているものだから、抗がん剤の作用が強くて骨髄の機能を抑えてしまう場合がある。骨髄の機能が弱くなって赤血球、白血球、血小板が少しつくられにくくなって減っていく。それが抗がん剤を使って10〜14日後くらいに出てくる場合がある。人によって違う。これが一番起こりやすい副作用。これに対して赤血球が減ってしまったら、増えるお薬を使います。赤血球や血小板はそんなに下がる心配はないと思うのですが、一番こわいのは白血球ですね。あとは吐き気だとか下痢だとか消化器系の症状が出てくる可能性もある。毛の抜けるような副作用もすべての抗がん剤に可能性があるのだけど、今回用いるのはなるべく脱毛を起こす可能性が少ない薬を使っていきます」 

 ――脱毛を起こさない薬を使った代わりにこの副作用はひどくなるというのはあるのですか。 
 「それはありません。大体どの薬もこういった副作用はあるのですよ。脱毛を起こす確率が高い薬に比べてどうかということは単純には比較できないのです。
 主に(副作用は)そういったものです。今のところそんなに心配することはありません。肺がんの転移したリンパ腺の場合は。今現在必ずこれを使うと決まったものではなくて、その人の肺がんの進行状況をみて、ある程度見当がつきます。それが何種類かあるなかで、今回は希望にそって使いましょうということです。

 CEAが手術をしたあとは正常範囲(5以下)だったのがだんだん上がってきて40になっている。その結果からみると、やはりがんの転移がどこかにあるのではないかという疑いがある。
 おしっこを24時間ためてもらって腎臓の機能を見て、しっかり保たれていることを確認して抗がん剤の量を確認します。お薬は人間の体の中で分解されて取り込まれて排出されていくのだけれど、腎臓の機能が弱いと薬がなかなか分解されずに悪い対応をしてしまう。そのために24時間おしっこをためていただく。大体そういうところです。抗がん剤を使うその日と翌々日副作用に対する薬を入れて症状が出ても最小限におさめていくということです」


 ●K先生の説明●
 その後、K先生が病室にやってきた。「PETの結果は、どうでしたか」と聞くと、「鎖骨の後ろ側に影があるとのことでしたよ」とその部分を指し示してくれた。「先生から入院の連絡がきたから、どこかしら(悪いのが)出たのだろうとは思ったけれど」というと、「じゃあ今、説明しましょうか」ということでカンファレンスルームに行った。

 西台クリニックからきた写真コピーを2枚見せてくれたが、思わず、「これだけ?」と言ってしまった。西台クリニックの案内パンフレットの写真ではもっとくっきりと出るのかと思っていたから意外だった。「これだけ」と先生もオウム返しに答える。

 ――そんな〜もっと鮮明に出るのかと思った。
 「これではわからないでしょう。これがCTのコピーですけど、CTのここの部分、ちょっと定かではないんですけれども、リンパ腺がちょっと腫れているかなという感じなんですよね。それとここの部分が一致をするので、ここが一番疑わしい。で、それ以外に縦隔に小さな集積をいくつか認めるけれども、正常なときにもそれは染まることがあるので転移かどうかはあまりはっきりしません。このへんに関してはCTでみるとこうなんですが(と写真を指し示す)。ただ他は全然なんともないので、そういう点からすると今腫瘍マーカーのCEAが上がっているのは、ここの部分が一番疑わしい」

 ――もう他に考えられないですよね。検査も全部やったし。
 「うーん、できるかぎりのことはやっているのでね。今、疑って、また何かをやるよりも、やはり腫瘍マーカーが上がっていることを考えると、ここだというふうにある程度断定をして治療を続けていって、あとはここの経過をみるのがいいのではないかと……。やはり責任病巣がわからないと治療効果もなかなかわかりづらいし、基本的には腫瘍マーカーをみればある程度評価はできるので、下がれば効いているという判断でいいと思うのですけれども。そういう形なので早速やらせていただきたいと思います。それで外来でお話を伺ったように副作用として脱毛があまり起きないタイプということでよろしいですかね。いろいろなタイプのものがあって、オーソドックスな治療でいくと多少は脱毛はします。だけども、ちょっと一剤お薬を変えるだけで、ほとんど脱毛は起きません。その主要効果としても、ほとんど大きな変わりはないです。はっきり言って。

 ただ一般的に一番最初にこのタイプのお薬を使って、二番目に違うタイプのお薬を使うときに組み合わせがしやすいとかそういう流れがあるので、こんな感じでやりますよというのがある。これは施設によってずいぶん違うんですよ。
 駒込(病院)の場合もこういう感じでやりましょうというのがあるのだけれども、ただやっぱりいろいろな副作用の出方があるから、そういう点でなるべく患者さんの意向に添えるように、うちのほうでは女性とか何かお仕事をなさっている人にとっては脱毛とかすることによって日常生活が変わってしまうことが多いので、脱毛に関してはなるべく起きないようにという方がいらっしゃれば、こういうコースでやりましょうというのがいちおう決まっているので、そちらの方向のお薬を使ってやらせていただければと思っているのですけれども」

 ――それを使ったら効果がすごく落ちるということがなければそれらを使っていただきたい。 
 「ないです。統計学的にみても、本当に(ゆうと言いかけて差と言ったから有意差だと思う)差はないです」   

 ――薬が合う、合わないとのことだったので、それが合わなければ脱毛する薬を使うのもしかたがないと。 
 「その通りです。それで効果をのぞめないときには違うタイプのお薬を使うと、そういう副作用が出てしまいます。いま、お小水をためていただいていると思うのですけれども、明日までためていただいてそれで治療を始めます。
 金曜日(明後日)から入れる予定にしたいと思います。明日おしっこをとって午後には結果が出ますので翌日朝から始めてお薬の投与は週1回です。だから、今週の金曜、来週の金曜に入れてその次の週はお休みをする。3週で1つのクールにするか、副作用の出方によっては3回投与して1回休みにするかもしれません。それは人によってちょっと違うのですが、それを続けていくことによって治療効果はほとんど変わらないので、副作用はなるべく少なく、続けられるような投与のしかたをしたい」

 ――その間は3週間ですか。1か月になっちゃうとキツイかなというのはあるんですけど。 
 「1か月はかからないと思います。ただ副作用がひどく出てしまうときには、たとえば具体的にいうと、白血球がすごく下ってしまって肺炎をこじらせてしまうような場合には個室管理でそのまま2〜3週間ということもあるし、そうなった場合にはちょっと1か月では無理ということもあるかもしれないけれども」

 ――それはお薬の効果ということですか。 
 「そうですね。骨髄抑制といって、血液は骨でつくられるけれども、骨でつくる造血機能が低下してしまうと、体の免疫機能、白血球が下がってしまうと、重篤なことがある。そういうことがないことがほとんどで、スケジュール通りにいけば大体3〜4週間で退院できるであろうと思います。最低2クールです」

 ――その間は外出はできないのですか。 
 「できます。外泊もできます。たとえば金曜日にお薬を入れてもそのあと土日は特になんともないです。入れてもそんなに気持ち悪くならない。そんなに症状が出るということはありません。だから、治療の間、2回くらいは外泊できます。ただ時期により不安ということはありますけどね。基本的には、投与のスケジュールを1クールというのですが、それを2回やったところでCTをとってみてどうするかを決める。あとは毎月毎月腫瘍マーカーを計りますから、その推移をみていって効果がありそうだと判断すればもう1クールやります。そのあとのことに関しては、引き続き外来でやります。

 2剤をいま使っていて、1剤だけであればふつうに外来でできます。2剤使うにはちょっと心配なところがあるんです。1剤だけだと外来で使えますというお薬はずーっと使い続けても体に影響はないといわれています。効果が認められるようであれば、3クール終わったあとに外来で続けて根絶やしにするかもしれないし、まだそこの予想はたちません。今、わかっていることとしては、副作用がそんなにひどくなければまず2クールやらせてもらって、まず1つのステップとしたい 」


 ――そこの段階までいったらまた考えると。でも、抗がん剤とは一生(のつきあい)なんですか。 
 「そんなことはないですよ。抗がん剤を打って影が消えてしまって病気がなくなったといってそのまま治療を何もしないで外来だけ通院している人もいらっしゃいます。肺に2、3個ポンポンと出てきて治療したらスーッとなくなってその後外来にきている人もいらっしゃいますし、そういう人は毎月毎月「やー、ことしも出なくてよかった」という話ができていたりしますので、望みがないわけではない」

 ――この前手術を受けたときに一緒だった人が今回入院していたりするので…… 
 (先生はこちらの質問の意を汲んだようにうなずく)
 「そうですね。肺がんというものの性質からすると、2年ぐらいの間に再発してくる可能性は結構高いです。特に駒込病院は大きな手術をするところなので、(病気が)すすんでいる人が結構多いですから」

 ――出始めのときには初期のIaと診断されたのに、結局転移があったということはもっと進んだステージだったということですか。 
 「そうですね。これは要するに、手術を終わったあとに転移が出たものではないんですね。手術をした時点で、顕微鏡で見えるくらいの細胞が取ったところ以外にあった。それが目に見えてきた。
 (ここで一呼吸おいて)
 点滴の時間はそんなに長くないです。2つの薬を入れるのが1日だけであとは1剤だけ入れるのですけれども、2剤入れるときは4〜5時間ぐらい」

 ――えー、そんなに(長い時間?) 
 「それは短いほうです。昔は2〜3日ずっと入れっぱなしでいた。(おい、おい、昔っていつ頃なんだろう、K先生はまだ若いのに……)」
 ――要するに、ずっと寝てればいいんだ。 
 「1剤のときには1時間半から2時間です」
 ――お薬は教えていただけるのですか。 
 「あー、いいですよ」
 ――決まったら。 
 「もう決まってますよ。(何ですかとの私の問にこたえて)えーっとね、薬品名でいいですかね。商品名?(「わからないけど、インターネットで調べてわかるもの」と私)薬品名はカルボプラチン(商品名パラプラチン=シスプラチン誘導体で、腎毒性は軽いそう)、それにジムシタビン(ジェムザール=腫瘍細胞のDNA合成を阻害する)」

 ――あ、聞いたことがある〜。 
 「ジェムザールは最近よくマスコミにも出てますよね。漫画とかにも出てるんですけど」

 ――昨日抗がん剤の治療で1日というのを1週間と間違えて、3倍多く入れて死んじゃった例が出ていたんですけど。先ほど看護師さんから「何かご希望はありますか」と言われて「医療ミスだけはやめてください」とお願いしたんですよ。 
 「あーそれはやっぱり治療自体慣れていない施設なんでしょうね。ここは数が多いですものね(ニッコリ)。ぼくらでなくても看護師さんでも量をわかってますからね」
 
 ちなみに、その記事はコレ。(新聞には病院名も院長名も出ていたけれど、ここでは略)

誤って抗がん剤3倍投与、末期がん患者死亡 山形・酒田市

 末期の胃がんのため、山形県酒田市のXX病院で治療を受けていた70代の女性が、抗がん剤の多量投与による副作用が原因で26日未明に死亡した。担当の男性内科医長(43)が治療法を記した医学誌を読み誤って女性に3倍の量の薬を投与したといい、酒田署は業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。 
 死亡したのは市内の無職の女性。同日、N院長が同市内で記者会見し、明らかにした。 
 医長は医学誌に載った化学療法で7月28日から治療を始めたが、「抗がん剤を週5日投与し、その後3週間は経過を見る」とある療法を「週5日間の投与」などと理解。経過観察期間を設けず3週間も投与し続けたという。 
 このため、白血球や血小板の減少が起き、8月16日に抗がん剤治療を中止したが、間に合わなかった。N院長は「内部のチェックが無かった。女性や遺族、関係者の方々に深くおわびする」と話した。 (朝日新聞08/26 20:15) 

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 内科の先生と相談して薬を決めるとのことだったが、胸部外科に最初に来て手術をすれば以後抗がん剤での治療であっても引き続き胸部外科であるようだ。最初から抗がん剤を用いるならば胸部内科ということになるのだろうか。6階には化学療法科というのもある。