|
03/11/1(土)
禁煙してほしい場所 |
●そんなことってあるの?
朝上沼恵美子さんのトーク番組ゲストが秋吉久美子さんで、父親が肺がんで亡くなったときのことを話していた。見つかったときには小さい腫瘍で元気だったのが3か月でテニスボール大に大きくなったとか。
秋吉さんはかつて「子供を卵で生みたい」と言うようなユニークな人だから、父親がいつ亡くなるのかが事前にわかり、その1週間前からは仕事を入れずに最期のみとりをしたそうだ。
ふだんどおりの生活をしていても「肺がん」という言葉をきくと聞き耳をたててしまう。さぁ、テレビを消して出かけようというときだったから、リモコンを手に立ったままでテレビを見てしまった。
●全面禁煙にしてほしい場所
ところで、今朝の「NIKKEIプラス1」(日経新聞土曜日版)には、全面禁煙にしてほしい場所と全面禁煙になると困る場所を取り上げていた。
|
全面禁煙にしてほしい場所 |
全面禁煙になると困る場所 |
|
| 1 |
路上 |
753 |
居酒屋・バー |
251 |
| 2 |
横断歩道付近 |
370 |
自宅 |
199 |
| 3 |
鉄道のホーム |
279 |
喫茶店・カフェ |
188 |
| 4 |
駅構内 |
254 |
ファミリーレストラン |
170 |
| 5 |
列車の中 |
240 |
ホテル・旅館の部屋 |
165 |
| 6 |
ファミリーレストラン |
224 |
カラオケボックス |
129 |
| 7 |
公園 |
179 |
路上 |
104 |
| 8 |
テーマパーク・遊園地 |
166 |
パチンコ店 |
103 |
| 9 |
映画館・ホール |
155 |
職場 |
84 |
| 10 |
職場 |
154 |
テーマパーク・遊園地 |
84 |
|
|
|
|
03/10/30(木)
半年ぶりのCT |
今日はCT撮影だけ。受付で見ていると、それまでは座っていたのに名前を呼ばれたときにはいなかったり、「食事をしていませんよね」「あら、みそ汁を食べました(食べてきてはいけないのに、注意書きを見なかったのね)、すみません、CT受けるの2回目なので(あまり理由になっていないみたい)」というやりとりがあったり、待っている間もなかなか楽しめる。
CTはあまり待たないのがいい。やる前に造影剤を飲まなくてよかったので安心していたら、すぐに造影剤を注射された。
例によって、「(血管が)出にくいですか。あら、入ったかしら、だいじょうぶかな」と注射段階で不安にさせられる。2人がそのまま様子見で立っていて、「1.5、1.6、1.7で安定しました」と部屋の向こうから声がする(これは造影剤が入っていく速度だとあとで教えてもらった)。
「だいじょうぶですか、気持ち悪くないですか」と聞かれると、「だいじょうぶ」と答えつつも「今日のCTは何か違うのだろうか」と心配になってしまう。そのうち、体がジワ〜ッとほてってきた。そこへ「体が熱くなってきたでしょう」とタイミングよく声をかけられ、ホッとした。しかもそれでCTを撮影するのは1回だけ(確か)。せっかく注射したんだから、もっと撮ればいいのにと拍子抜け。それでも支払いは基本料と画像診断と合わせて10530円。前回CTをとったのがついこの間のような気がするのにもう、半年経っている。
薬が効いたかどうかは3割の確率だそうだが、ケセラセラ、Let It Be、自分ではどうにもならない。髪の毛が少し薄くなった以外は本当に元気なのに。
そういえば、この日は外来で「駒込病院利用者の皆様へ」とアンケートをしていた。通院状況や、病院を選んだ理由、希望することなど。この結果が生かされればいいな。
|
|
|
|
03/10/27(月)
拓郎さんの肺がん後 |
日本テレビ「スーパーテレビ」では肺がん手術後、復帰コンサートを行うまでの吉田拓郎さんを取り上げていた。
2年ぶりのアルバムを発売し、さぁ、これからコンサートツアーと張り切っているときに病気がわかったのだから心情はいかばかりか。健康診断で肺腫瘍がわかり、4月9日に手術をし、6月16日ラジオの復帰会見を行った。
「絶対に自分がそういうことはないと思っていたのに、ショックが人一倍大きかった。かみさん知ってますよ。目が真っ赤になってたもの」
最初に医者から告げられたときのことをそう表現していた。ツアーの中止など今後変更を余儀なくされることを考えるとショックだったのか、これまでラッキーに来た人生が病気によりくじかれた思いがしたのか、ショックの中身はわからないが、百人の告知があれば、受け止め方は百人様々だ。告知でこの程度だと、万が一再発を告げられたときにはだいじょうぶだろうかと心配になった。
仕事復帰といえば、私は2週間後に戻ったが、拓郎さんは3か月後とはいえ、すぐにボイストレーニングを始めたのだからすごい。この時点で、9割以上は肺のしびれがとれたといっていたが、声を出している間にも咳が出ていた。拓郎さんがさんざんヒットを飛ばしていたときも、歌はあまりきかなかったけれど、同じ病気をすると応援したくなるから不思議(そもそも拓郎さんが憧れたというボブ・ディランが好きではなかったからしかたがないけど)
10月19日復帰コンサートまでの拓郎さんを淡々ととらえ、その時々の思いを語るのだが、病気について語る心情はよくわかる。
「最初のうちは後ろ向きで悲観的だったけどいまはかなり前向きでだいじょうぶですよという感じ」
「なかなか前途多難。自分の自由に呼吸できないのがちょっとおもしろくないですよね。走っても息があがっちゃう。あと(コンサートまで)2か月、ちょっとあせっちゃうね」
「意気込みはあるんだけど……、神様が決めちゃったからさ、がんだって。こればかりはどうにもならない。だって他にないじゃん、方法が」
「ここに肺がないんちゃう、ことは心が痛いんで」
「(2回目のボイストレーニングで)全然気分悪いんだよ。息を吸わなくていいところで、吸わなくちゃならない」(歌手の人が肺がんになって肺活量が減ってしまうと息継ぎがつらいだろうなぁ)
「死んじゃうやつがいたり、元気で頑張っているやつがいたりする中に自分が入っているなぁという気がする。同年代のやつががんばっているのに拍手を送りたいのは生まれて初めて」
「9月18日リハーサル初日「大丈夫ですか」と聞かれて)大丈夫じゃない」(キャハハ、大丈夫じゃないって、私もよく口にする)
(「肺がんの手術から6か月、誰もが奇跡という」というナレーションが入った後、10月15日最終リハーサル)「あせってるのと、眠れない日があったりするので、うまくいくのかと考えちゃう。そういうのを考えると寝れなくなって、ということは過去になかったです。明らかに手術をした後遺症の一つ。精神的に過敏になってる。大丈夫かということに対して」
拓郎さんは10月から12月までにコンサートを10日開き、1日2回公演が3回もある。手術後、6か月といえば、風邪をひかないように、仕事には出ていても人込みには極力出かけなかった。がんになったのかはなんらかの理由があるに違いないと考え、手術後は外食もしなくなったし、仕事上で無理もしなくなった。それでも、再発するとがっかりだが、手術した時点ですでに転移していたと聞かされると、がんとはそういうものなのだ(理不尽そのもの)と納得がいく。
この番組を見終わって感想はひとこと。「拓郎さん、元気になったからといって無理をしないで」
|
|
|
|
03/10/23(木)
ロバート・デ・ニーロ |
ロバート・デ・ニーロが初期の前立腺がんであることを発表した。近作には「アナライズ・ユー」があるが、大人のコメディーといった感じでおもしろかった。この人の作品は数多く見ているが、好きな作品は「ミッドナイト・ラン」「アイリスの手紙」。ちかごろ前立腺がんが増えていて、今朝のラジオではネバネバ系の食品が前立腺がんによいといっていたそうだ。納豆とか山芋、オクラなどだろうか。ロバート・デ・ニーロも早く治してよい作品にもっと出てほしいと思うが、外国のネバネバ系食品にはどんなものがあるのだろう。それを食べれば絶対に効くというのであればいいのだが、そうはならないのがこの病気なんだよね。
|
|
|
|
03/10/21(火)たばこ、タバコ、TABACCO |
●タバコの注意書き義務化
欧米では、タバコの害をより大きく分かりやすく表示して警告するようにメーカーに義務付ける動きが広がっているそうだ。EU諸国に行けば箱の表面に「喫煙は人を殺す」とそのものズバリで書かれ、ビビル人もいるわけだ。
日本でも財務省が2005年7月から8種類の文書を指定し、箱の表裏に2種類表示を義務付けることを決定した。(たばこの平仮名表記はピンとこない)
|
財務省が決定した新しい注意書き
1 喫煙は、あなたにとって肺がんの原因の一つとなります。
2 喫煙は、あなたにとって心筋こうそくの危険性を高めます。
3 喫煙は、あなたにとって脳卒中の危険性を高めます。
4 喫煙は、あなたにとって肺気しゅを悪化させる危険性を高めます。
5 妊娠中の喫煙は、胎児の発育障害や早産の原因の一つとなります。
6 たばこの煙は、あなたの周りの人、特に乳幼児、子供、お年寄りなどの健康に悪影響を及ぼします。喫煙の際には、周りの人の迷惑にならないよう注意しましょう。
7 人により程度は異なりますが、ニコチンにより喫煙への依存が生じます。
8 未成年者の喫煙は、健康に対する悪影響やたばこへの依存をより強めます。周りの人から勧められても決して吸ってはいけません。 |
かなり生ぬるい表示ばかり。この程度の文章でたばこを控える人がいるとは思えない。
「今日のたばこが寿命を1年縮めます」
「たばこやめますか。それとも、あなたの吸うたばこの煙で愛する人を殺しますか」
「たばこが心筋こうそく、脳卒中、肺気しゅなどを悪化させても、苦しむのはあなたです」
とか、もっと過激にしてほしい。もっとも、「吸いたい人は勝手に吸え。ただし周囲に迷惑かけるなよ」という心境だけどね。
●タバコを吸う人は信用しない
NHK夜11時からの「ものしり一夜づけ」で貧乏ライフを特集していて、貧乏に関する本を書いたカメラマン志望の若者を取り上げていた。都内から関東近県に移り住み家賃3万円で生活している28歳の青年は、庭に野菜を栽培し、七輪でサンマを焼いて食べていた。その日の食事をつくるのに2時間を要したが、つましさの中に本当の豊かさが感じられるという取り上げられ方だった。要は彼の価値観が変わったということなのだろう。バンダナを巻いて(この手の青年のお約束)、タバコを何cmかに刻み、キセルでタバコを吸うシーン。ここで大きくこけてしまった。酒は百薬の長だから、嗜好品として多少の贅沢は許す。だが、なぜ貧乏してまでタバコを吸うのか、その神経がよくわからない。
タバコが好きな人はどんなことをしても吸うし(肺がん患者も1階の喫煙室で吸っていた……)、意外にそういう人に限って肺がんなどにならずにしぶとく長生きするんだよなぁ。私は頭に来ているときに、たまたま憎たらしく、くわえタバコで歩いている人を見ると、「○ねッ」と心中で悪態をつくのだが、そんな望みはかなうはずもない。携帯をかけながら車を運転する人、歩きタバコの人、道路にゴミを捨てたりタンを吐いたりする人、こういう人たちに、ある日あるとき「○ねッ」光線が働けば、日本の人口の3分の1は減るだろうか。
美しい空気、ゴミのない環境で、清い心(肺)で生きたいものだ。
|
|
|
|
03/10/20(月)平均寿命 |
先週の金曜日あたりからシャンプー時に髪の毛がよく抜けるようになったが、第1回目クールのように髪の毛が乾いた状態でもハラハラ抜けるというようなことはない。今日はあまり気にならなくなった。でも、頭のてっぺんなどかなり薄くなった気がする。先週はなんとなく体がだるかった。季節の変わり目で、ほかの人もだるい、だるいとぼやいているから、このだるさが抗がん剤のせいなのかどうかはよくわからない。
年表を調べていたら「1947年に平均寿命が初めて50歳を超える」と出ていた。男性が50.06歳、女性53.96歳。当時だったら平均寿命を超えてめでたし、めでたしなのに、2002年には女性85.23歳である。あと30年も生きないと平均はクリアできないのか〜。昔々、テストで平均点以下というのは相当ヤバイという気がしたが、平均寿命を超えるのはきつそうだなぁ。
しかし、いまでも平均年齢50歳台の国はある。アフリカのナイジェリアは、男性が50歳も達していないし、女性も51.5歳。どの国も女性のほうが平均寿命が長いが、男女の差が開いているのはタイ15歳、ロシア12歳など。こうなると未亡人生活が長くなる。エジプトやインドでは夫婦が同い年とみて、旦那がいなくなったあとの未亡人生活は1〜2年ということで、あまり男女差はない(日本の場合は約7年)
|
|
|
|
03/10/15(水)日経夕刊記事より |
日本経済新聞本日夕刊社会面に病院関係記事が3件あった
1) 宇都宮市の宇都宮社会保険病院で2001年1月、40代の男性患者が肺がんと誤診され、左肺の半分を摘出。この男性の腫瘍は良性だった。組織検査の検体に誤って末期がん患者の検体が混入したのが原因。病院は「すべての発端は検査ミス」と認め、示談成立。
2) 岩手県の県立磐井病院正面玄関から体重100kgのクマが病院内を駆け抜ける。クマが廊下で滑って転ぶ様子も目撃された。クマを見た人たちは唖然。
もう一件は病院の先生がわいせつ行為というくだらないもの。こんな先生を出したら、病院の品格も下がってしまう。
それにしても、検査ミスで肺を失ってしまうとは。様々な業界で、信じられないミスが大きな事件や事故につながっているが、結局は品質管理をないがしろにしているということ。ところが、この品質というのがやっかいで、品質そのものに対する考え方が違う。以前、食品メーカーや食品関連会社に品質に関するアンケートをしたことがあるが、企業により「品質」のとらえ方が違うことに驚かされた。しかし、自社製品の品質を明確し、品質管理の手順を定めて、それを守っていれば大きなミスにはつながらないだろう。病院の「品質」って、患者の命をしっかり守ることかなぁ。
同じ日、生活面「はつらつ」のコラムではウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック院長が、「手術前後のケア、専門家も登場」として、【手術が決まってから手術を受け、元の生活に戻るまでの周手術期ケアをしてくれる専門の看護師やソーシャルワーカーが注目されている。医師の多くは患者の不安感や生活の細部にかかわらないことが多い。(略)「手術は医者に任せれば大丈夫」と思っていないだろうか。それは違う。手術の主役は患者自身だ。疑問な点を尋ねるなど、主体的に治療に参加していけば、手術後も心身ともに早く回復し、元の生活にも早く戻れる(略)】と、主体的に治療を受けることを推奨していた。わかってはいても、患者さんたちはみんな受け身で、話を聞くだけに終始しているように見える。
昨日も患者のKさんと立ち話した折、「手術後抜糸した折り、糸が残っていたらしく、その後糸が出てきて肉が盛り上がってしまった。お風呂に入ると細い糸がゆらゆら出てくる。先生は、溶ける糸だからだいじょうぶというが、外側は溶けないナイロン糸と聞いたので心配だ」と話していた。抜けた糸まで持参してきている。その後診察でどう言われただろうか。先生は、簡単にだいじょうぶですよと言っても、患者は不安を覚えるものである。先生も逆の立場になるとわかると思う。
|
|
|
|
03/10/14(火)2クールの2回目 |
8時40分に病院到着。外来受付は8時45分からなので、先に採血室に行ったが、順番は15番目だった。朝は8:30から開いているとのことで、朝の競争は厳しい。9時30分の外来予約だから、今日はスムーズかもしれないと期待したが、10時20分に診察室に入れた。先週は予定より早く呼ばれたのに、治療をせずにスゴスゴと戻るはめになり、なかなかうまく行かない。11時20分から抗がん剤治療開始。2剤(抗がん剤はジェムザール)で30分、30分で1時間で終わると聞いたのに、最初の点滴が1時間近くもかかり、結局、終わったのは2時すぎだった。
白血球7000、好中球3980、血小板15万。肝機能は正常になっているので問題なしとのこと。今回も髪の毛が抜けるかどうか聞いたのだが、ジェムザールよりもパラプラチンの影響が大きいのだそうだ。血圧は抗がん剤治療前が135-83、脈拍87、治療後が144-80、脈拍83だった。
昨年手術入院したときに一緒だったHさんに会ったが元気そうだった。抗がん剤の注射を打ちに来てくれた飛鳥田先生に聞いたところ、入院患者のOさんは具合がよくないとのことで見舞いには上がらなかった。先週も同じ状態だったので、少々心配。
今日はお金が不足したらいけないと思い、3万円もっていったが、支払いは16680円だった。1クールに6万円弱ということになる。
|
|
|
|
03/10/13(月)
専門職がいないって!?
|
9月30日に外来へ行ったとき、髪の毛が抜けるのはそろそろ落ち着いてくるだろうと言われたが、その1週間後くらいから抜け毛があまり気にならなくなった。明日はまた抗がん剤を打つからまた抜け毛があるのかな。
●専門職の養成
今日、日本経済新聞の「医師の目」というコラムで、国立札幌病院放射線科医長の西尾正道先生が「専門職なき治療の危うさ」について書いていた。
|
・医療現場の業務が複雑化、専門化しているため、専門的な職種の必要性が生じている。
・放射線治療には、装置の保守管理を行う医学物理士やコンピューターを使って最適な放射法を考える線量計算士といった職種が必要。
・がんの8割近くを占める扁平上皮がんと腺がんというタイプは、放射線の線量が5%少なければ治らず、5%多ければ障害を引き起こすこともある。(ここの文章は、「がん」でなく、「肺がん」ではないかと思うのだが)。
・日本の病院で働いている医学物理士は40人程度で、米国(約4000人)、欧州先進国(1000人)に遠く及ばない。
・放射線線量計算士にいたっては対応する職種すらない。日本の放射線治療のシステムは大きく立ち遅れている。
・本当に必要なのは、専門的な知識と技術をもつ「人」による安全性の確保である。これは放射線医療事故や医療ミスの最良の対策でもある。
・日本では診療放射線技師が1人で何役もこなしているのが現状。
・専門職の養成と雇用の義務化を急ぐべき。(日本経済新聞03/10/13) |
放射線治療をしているという人に付けられているマークを見ると、よくこんなところに正確に当てられると感心してしまう。頸の裏側の骨にがんが転移したという人は、エッ、こんなところから放射線を当てるの?というような個所に何カ所かマークがしてあった。
●こんな先生がいることにびっくり
もう一つ驚いたのは、大和清和病院心臓病センター長の南淵先生の記事。なんと、この先生は手術の様子を録画して患者に渡しているらしい。うちの父が胃の手術をしたときに、病院から切り取った胃を見せられ、母は「胃はこんなに小さいのに消化の役割を果たしているのか、暴飲暴食はしないようにしよう」と思ったそうである。やはり手術をした身としては、どのようなものなのか見たいという気はある。
ところで、この先生は学会活動の単位が足りないため、来年度は日本循環器学会の専門医資格を失う。このことに対して、学会のある幹部は「研究中心の医師に与える箔付け」として専門医資格を与えているので、臨床実績は基準に入れないと言い放ったそうだ。この記事を読んだ学会幹部が憮然としている様が目に浮かぶようだ。現場サイドよりも学術研究サイドを重んじる風潮ってどこでもあるよね。
|
|
|
|
03/10/8(水)
がん検診機関産・医で設立 |
今日の日本経済新聞朝刊一面にトップに「国内最大 がん検診センター 企業・病院が共同設立、来夏、横浜に 年7万人対応」の大見出し。「がんの早期発見に有効な最先端機器の陽電子放射断層撮影装置(PET)を大量に導入し、年間7万人が受診できる施設をつくる。今後、全国10カ所で地元医療機関と組んで検診センターを展開する」とのこと。
新聞記事から要点をまとめると下記の通り。
●新横浜PETセンター(2003年7月横浜市に新設)
| 事業主体 |
医療法人社団「ゆうあい会」(東京都葛飾区) |
| 4大学病院 |
専門医を派遣 |
| 19社・団体 |
企業連合を結成し、医療行為以外の運営業務全般を請け負う。受託料(施設賃貸料、医療関連サービス等)で資金を回収。 |
| 費用 |
60億円(企業連合加盟社が医療法人に賃貸) |
| PET台数 |
12台 |
| 共同利用 |
約10の病院が施設を共同利用するほか、首都圏の医療機関にも呼びかける。 |
| 2004(初年度)見込み |
2万8000人 |
| 2009年度 |
7万2000人の利用を見込む |
| 利用料 |
健常者の場合 7万5000円 |
| 今後 |
「産医共同」のモデルケースとして、今後5年間に10カ所整備する計画
PET検査:2002年4月、PETを使う一部のがん検診に保険適用が認められた。2004年度に全国で100台程度になる見込み。 |
| 施設の運営 |
市ヶ谷ティーアールエス |
|
私もPETの恩恵を受けた一人なので、このような計画が立てられたのはうれしい。1cm以下の小さながんも画像でとらえられるためにがんの早期発見に効果的だといわれていたが、説明を読み、すべてのがんに万能というわけではないので少々がっかりした覚えがある。
でも、現時点で最高の検査機械であることは事実。手術をしても結局は再発すると患者の失望は大きい。私は腫瘍マーカーの数値が上がっているのに、CTで検査しても再発した場所がわからず、いろいろながん検診を受けることになった。
駒込病院でも、最近は手術をする前にPETを受診してもらい、他に転移などが見られなかったら手術に踏み切るというケースがあるようである。
施設の運営にあたる市ヶ谷ティーアールエスというのは、西台クリニック(板橋区)と連携して健康診断支援事業を推進しているところだから、施設運営のノウハウはできているはずである。
PET検査は約1時間かかるから8時間稼働したとして12台で1日96人、病院はウィークデーしか検査しないから、約300日フル稼働で2万8800人という計算になる。
しかし、5年後に7万2000人ということは12台では到底無理だから、30台くらいに増やすということなのだろうか。そのころにはさらに精密度の高い検査機械が出ているかもしれない。 |
2003.10.8 日本経済新聞 |
問題は、利用料健常者で7万5000円と高すぎるということ。現在でもがんにかかった人は保険が適用されて約3万円、老人医療だと1万円ですむが、一般の人で年2回がん検診を受けて15万円というのは庶民感覚として厳しいと言わざるをえない。
「巨大な医療市場の開拓を狙う産業界は、医療機関と組むことで新規需要を積極的に掘り起こす」ということだが、莫大な利益が上がると見込むから、こうした計画もたてられるのだろう。早期発見は確かに望ましいのだが、その先の治療研究に対してもっと産業界が研究支援してほしい。
こうした事業については国が積極的に関わって、もっとコストダウンを図っていくべきだと思う。かつて話を聞いた患者のOさんが怒りを込めて「国民を守るのは国の務め。検査が安く受けられるということにすれば、国民保険や国民年金なども滞納しないよ」と言っていたが、今回のニュースを聞いても怒りは収まらないだろう。
ところで、上にリンクした市ヶ谷ティーアールエスだが、今日はきっと検索をかけて見に来る人も多いはずなのに、トップページがさっと出ないのでいらついた。情報を正しく伝えたいページの場合、トップページが速やかに出て、すべてが一度に把握できるようにすべきだ。これではホームページ制作会社が「うちは技術があるんだよ、ほら、ほら」と見せつける自社PRページと同じではないか。光ファイバーを利用しているが、shockwaveなど「高度な技術誇示ショー」が落ち着いて、それなりのトップページが表示されるまで12秒かかった。医療関係の情報はみんな速やかにチェックしたいのだから、ホームページ制作会社のアホな提案にのって、むだなことはしないでほしい。まだまだ非力な通信環境でインターネットを見ている地域も多いのだから、東京だけの感覚で考えてはいけない。都立病院の中にも、動画を入れたトップページの病院があるが、基本的に動画用Playerをダウンロードしなければいけないような作りはやめたほうがよいと思う。
この関連で検索をかけていたら、大和総研の「経営情報サーチ→バイオ・医療分野の中に「変容するバイオベンチャーとそのビジネス」という記事があった。全文はページの右上からpdfでダウンロードできるが、興味深いことがのっていた。こうした内容に興味がもてるのは、病気をしたおかげと思うと複雑な気分……。
|
|
|
|
03/10/7(火)
白血球低下につき治療1週間延期 |
●家族は第二の患者?
9:30の予約だが、その前に血液検査があるので、8:40に着くように行った。受付開始8:45に2番目にカードを入れ、急いで採血室に行く。ガッピ〜ン。すでに人でいっぱいで順番は29番だった。採血室はもう少し早く開いているらしい。しかし、8:50にはスンナリと採血を終えることができた。
さて、結果が上がるのは50〜60分かかるそうなので、どこで時間をつぶそうかと思っていたら、テレビのあるコーナーでNHKがん特集「シリーズがんとともに生きる2 家族は“第二の患者”」をしている。身内ががんになったときに、家族はどのようにすればよいかということで、1)そばにいること、2)「がんばれ」は控えめに、3)普通に接する、4)率直に語り合う、などのアドバイスが行われていた。
患者の立場からいえば、「がんばれ〜」と言われるのは、気分だけでも元気になるので、個人差があるのではないだろうか。
乳がんになった泉アキさんと桂菊丸さんがゲストだったが、菊丸さんが「他の病気ならば代わってあげたいけれど、がんだけは代わりたくないと思った」と率直に語ったのが印象的だった。うちの母親は代われるものならば代わってあげたいと言ったけれど、母親と夫の立場では違うらしい。
●治療1週間延期
9:30になったので、外来待合室に行ったところ、入院のときに一緒だったWさんがいた。その隣にいたXさんは2月に手術をしたというのに5月には腫瘍マーカーが25まで上がり、放射線治療を始めたそうだ。25回放射線治療を受けてきたが、その間に20、13、6.5と腫瘍マーカーが下がり続け、今は抗がん剤治療を始めたばかり。しかし、今日は採血の結果、白血球が下がっているので来週ということになった。
そんな話を聞いていたら、私の名前が呼ばれた。こんなに早いのは駒込病院に行き始めてから初めてと思い、いそいそと診察室に入ると、先生開口一番「どこかに行っていたんですか」。私はこの1週間のうちに遊びに行ったかという意味と勘違いしてトンチンカンに答えてしまったのだが、「そうじゃなくて……一度お呼びしたんですよ」と言われてやっと意味がわかった。その結果だが、私も白血球が下がり、今日は抗がん剤が打てないとのこと。白血球2600、好中球740、血小板19万。好中球が低いのはだめらしい。今日は白血球を上げる注射をすることになった。「わー、前の人がご愁傷様だったから、私もだめかと思ったんだけど、やはりだめか〜。前の人は車で1時間もかけてきてだめだったそうです」と言うと、先生も同情していた。前の人は渋滞のなか、やっとの思いをして辿り着き、血液検査をしただけで帰るはめになったのだから、本当に気の毒。私はもう1本注射が多いからよしとするか。
「肝機能も下がっているんですよね。入院したときにも下がってはいたのですが……。今日注射を打てば白血球は上がると思うので、来週は少しお薬を弱くします」
当初の計画が狂ってきているので、入院してくださいと言われるのではないかと怯えたが、あくまでも外来で計画を立ててくれるようなので助かる。
本日の支払いは血液検査と注射代などを含めて6500円。400円のケーキを16個はおなかに入れた計算になる。病院の支払いだとサラッと出ていくけど、ケーキと考えるとズシリと重い。ケーキのほうがいいなぁ。
●上の病室へお見舞いに
エレベーター12階まで上がったときに、Sさん夫妻に会った。Sさんは頭にバンダナを巻いていた。抗がん剤ですっかり抜けてしまったそうだが、パジャマ姿と違い、ダンディーに決めていて元気そうだ。奥様が私のホームページを見ていらしたので、髪の毛のことを聞かれた。髪の毛がハラハラ抜けることを書いていたので、心配してくださったらしい。ご主人は抜けるときにはバサッと抜けたそうだ。今後は外来なので、また会えるかもしれない。
Mさんは30回の放射線治療を終えて明日退院。同じ病室にいるのは整形外科の人ばかりで、つい最近肺がんで入ってきた人は86歳のおしゃべり好きなおばあちゃんのため、話を聞いているだけで疲れるとぼやいていた。90歳という高齢になったときには入院してつらい思いをせずに、そのまま寿命を待つという選択肢もあるだろうに、やはり人間は少しでも長生きしたいと思うようである。
MさんがH先生に「アガリクスなどの健康食品で飲んだほうがよいものがあれば教えてください」と聞いたところ、「どれも飲まなくていいです」と言われたと教えてくれた。丸山ワクチンを入院中毎日打っていた人もますます悪くなっていたそうだ。外来でおしゃべりした人はステビアを飲んでいるそうだが、別の人にはAHCCをすすめられたと言っていた。がんに効くといわれるものを真に受けて購入し続ければお金がいくらあっても足りないだろう。
昨年検査入院のときに一緒だったSさんにも出会った。これまでも出たり入ったりを繰り返してきたが、今回は骨の2か所に転移し放射線治療を行うとのこと。「この病気はずっと付き合わないといけないのよね」と言われると、うなずくしかない。
Oさんも見舞いに行ったが、痛み止めを飲み、座薬を入れた後ということで寝ていた。この間は抗がん剤が効いて元気だと笑顔が見られたのに、今日はつらそうだった。「あんたも白血球が下がったんだったら、早く帰ったほうがいいよ」と言われてしまった。
●レッドソックスの逆転勝利に勇気づけられる
というわけで、戻ってきてテレビをつけたら、米大リーグ・地区シリーズのレッドソックス対アスレティクス戦が大詰めを迎えていた。9回裏4対3でレッドソックスが1点リード。ノーアウト1、2塁。だめ、心臓に悪い。とても見ることができない。イチローがいるマリナーズに勝った、西地区代表アスレティクスを応援したいのはやまやまだが、レッドソックスには「バンビーノの呪い」を解くためにもぜひ勝ち進んでもらいたい。ガルシアパーラやラミレスも好きだしね。というわけで、今回はレッドソックス応援派。でも、これだけいい試合を見せてくれたのだから、勝ったほうを最後まで応援することにした。
バンザーイ。レッドソックスが勝った。2敗した後の3連勝。このあたりの粘りがロートルの多いマリナーズには見られないところだ。勝ち上がったとしてもレッドソックスの気迫には負けたかも知れない。イチローは今日のような試合をしたにしても、淡々として喜びを外に見せないのだろうか。NHKの放送の最後に、ガルシアパーラが両腕を上に大きく突き上げているポーズが映ったが、勝ったとき、うれしいときには素直に感情を出す選手のほうが応援のしがいがあると思った。
これから先、レッドソックスがヤンキースに勝って、ワールドシリーズも制覇してほしい。今回のアスレティクス、レッドソックス戦はどの試合も白熱した試合ばかりだった。今日の試合は最高におもしろかったので保存版としてDVDにした。こういう試合を見ると、最後まであきらめてはいけないのだと教えてくれているようで、勇気と元気がわいてくる(単純!!)。
|
|
|
|
03/10/6(月)
肺がんにワサビが効果!! |
今日の思いッきりテレビは「最新のがん研究を生活に活かす」というテーマだった。2003年9月に日本癌学会で、がん予防と治療に効果のある食品群が新たに発表されたのだそうだ。癌学会といえば、弁当による食中毒で新聞ネタになっていたなぁ。
がんによる死亡者数は、肺がんが最も多くなっている。肺に転移するように操作されたマウスでの実験で、ワサビに含まれる6-MITCを投与したところ、メラノーマ(がん細胞)が肺に転移するのを抑制するのが確認されたとのこと。
6-MITCはワサビに含まれる香り成分で、メラノーマを試験管で培養したものに、「ふつうの水」「ふつうの水+6-MITC0.5%」「ふつうの水+6-MITC1%」「ふつうの水+6-MITC2%」を投与。すると、アーラ不思議。2%にしたらメラノーマがほとんど消えている。
こんな映像を見たら、今、肺がんでない人たちもワサビに走るだろうなぁ。ワサビに含まれる辛味でなく、香りの成分が効果があるそうだ。
そこで、今日教えてもらったのをまとめると・・・
|
■ワサビは肺へのがん転移抑制効果がある。
■生ワサビ(葉のほうから用いる)をゆっくりすりおろすとより効果的。
■チューブ入りワサビでも効果は期待できるが、原材料が本ワサビとなっているものを使用すること。ただし、香り成分に効果があるといっても、香りをかぐだけではだめで、食べないとだめ。
■さらに効果を高めるにはお湯に溶かすこと。したがって、ワサビ入り茶漬けなどがオススメ。
■ワサビ1日5gを数回に分けて、お茶に溶かして飲むとよい。 |
このほかのがんについては、こんな感じ。
|
■胃がん:ぶなしめじ、なめこを1週間に1日以上食べている人は胃癌にかかりにくい。
1日20gでよい。なるべく加熱しないほうがよいので、なめこおろしや軽く加熱したぶなしめじ炒めなどがオススメ。
■大腸がん:ブロッコリー・白菜を1週間に5日以上食べている人は大腸がんになりにくい。
■肝臓がん:納豆が効果的。ネギ入り納豆がオススメ。グレープフルーツジュースが肝細胞のがん化を抑制することが確認された。ただし、降圧剤など薬(カルシウム拮抗剤といわれている薬だけ)を飲んでいる人は注意すること。 |
|
|
|
|
03/9/30(火)
第2クール開始 |
●朝一番の予約だったのに
朝9時の予約なので、8時30分に着いた。受付は8時45分だが、私の前に受付箱に入れている人は3人しかいない。これならば早くすむかもしれないと期待したが、甘かった。
9時に診察が始まるが、やはり上の病室で何かが起これば先生方が診察室に入るのは遅くなる。この日外来を担当する先生2人は9時10分過ぎにお目見えした。
9時40分に看護師さんに呼ばれ、「血液検査を先に行ってきてください。この結果が出てから診察なので少し待っていただくことになります」とのこと。血液検査はあると思っていたので、外来が始まったらすぐに聞いておくべきだった。今日は電話で予約をとったために検査票などが事前に出ていなかったし、私も病院に聞くのを遠慮したため、結果的には大きな時間ロスが生じてしまった。
●採血
採血室も込んでいた。どっしりしたタイプの中年女性の技師さんに初めて当たったが、左手、右手とチェックし、やはり手首で採血することになった。「腕のところだと切り口がいい(採血注射器?)のでできるけれど、ここだと切り口が悪いのよね(だから、血液を採り終わるのに時間がかかるということを言いたかったみたい)」。
注射器を外して止血するときに、他の部分の注射痕を見て「あなた、押さえが足りないわ。5分押さえてと書いてあっても最初の1〜2分が勝負。親指でこれぐらいギュッと押さえないと痕が残っちゃうわよ」。オーッという感じ。私はこれまでホニャラカと適当に押さえていたみたいだ。よく押さえるという行為は、単に止血するというだけではなかったのだと納得した。
●外来診察
採血後、検査結果が上がるまで待つといわれていたので、食堂で時間つぶしをしようと思い、モーニングセットの前を行き来したが、結局外来待合室へ戻った。ところがこういう時に限って早く呼ばれる。10時20分過ぎだった。
――もう検査の結果が上がってきたのですか。
「白血球だけね。白血球5500、血小板32万、好中球3670なので、今日(抗がん剤治療が)できます。好中球が1000を切るとできないんですよ」
――先生、髪の毛がやはり抜けるんです。さわっただけでハラッと。だから、いろいろ(かつらとか帽子とか)用意したほうがいいのかと思っちゃいました。それでも、これだけ残ってはいますけど。
「抜けましたか?抜けにくいのを使っているんですけどね。(2週目の)1剤を使った後に抜けたんではないですか。(私が先週から少しずつ抜け出したと説明すると)今からは落ち着いてくると思いますよ」
――このところおなかの辺りとか、体がかゆいのですが、これってやはり副作用ですか。
「それは副作用には入っていませんね」
――10月4-5日と仕事で出なければならないのですが、宿泊はだめですか。
「宿泊してもかまいませんよ。白血球が下がってくるのは2週間前後ですから。来週ならば気を付けないといけませんね」
それから検査の説明。来週も血液検査をして、よければまた抗がん剤を打つ。10月30日にCTをとる。今日はこの前の治療スケジュール通りに抗がん剤を打つが、薬を用意するのに時間がかかるから、待っていてくださいと言われた。
――血液検査で腫瘍マーカーは調べないのですか。
「腫瘍マーカーを調べるのは月に1回なんです。この治療が終わったらマーカーとCTで調べてみましょう。リンパなのでCTをとらないとわからないのです」
――リンパって結構ヤバイところなんですか。
「今はあまり腫れていませんから、まだたいしたことはないと思いますよ」
――でも、薬が効かなかったら大きくなる可能性もあるんですよね。
「そうですね」
――効かない人ってどれぐらいいますか。
「全く効かないで腫瘍マーカーが上がる人が3割、そのまま変わりなしが3割、ものすごく効く人が残り(というから4割と少しでも多く言ってくれるのかと思いきや)3割ぐらいです」
先生だって、聞かれれば正直に答えるしかないよね。神様ではないのだから。でも、淡々、あっさりモードで答えるので、患者としても現実をあっさりと受け入れる気持ちになる。効果がある人が3割というのはガッカリだけど、「効果なしで現状維持」もよしと妥協すれば6割の確率になる。次に腫瘍マーカーの結果が出たときに、「残念です。また、上がりました」と言われ、ガッピーンとショックを受ける姿が瞬間浮かんだ。今日は睡眠不足のため、弱気モードになっている。
――わかりました。これから特に気を付けることはありますか。
「薬の副作用でだるい、食欲が落ちるということはあるかもしれません」
そんな会話をして、待合室に出た。これからが長かった。待てども待てども順番にならない。入院していたときには抗がん剤フルコースを終えるのに3時間15分かかった。
11時から始めたとしても、午後2〜3時頃になってしまう。朝食はジュースだけなのにおなかはすかないだろうかと急に心配になる。
12時20分。やっと治療室に入れた。大きな部屋にベッドが8つあり、車椅子の人などのための個室が中に1室あった。治療を受ける前後に血圧を測るようにと教わった。
誰が最初の注入針を刺してくれるのかと思ったら、K先生だった。おーっ、K先生に針を入れてもらうのは初めてである。「じゃ、腕が試されてしまうなぁ」と言いつつ、左、右と手を出してトントンやるのだが、なかなかうまい場所が見あたらない。
「いま、仕事忙しい?」と先生。
「はぁ、まぁ。入院しなくてすみません」とあいまいに答えると、「僕の???(治療スケジュール、メニュー、計画などそういった意味合いだが、正確な言葉が思い出せない)を外来でやるという人はほとんどいないんですよ」とおっしゃった。私も強引に外来をお願いしたからなぁ。
「(血液が)出にくいんですね。上(病室)では誰にやってもらいました?」。先生は外来で待っている患者がこうしている間にも団子状態で増えていくので気がきではないはず。ついにあきらめて、上の病室に電話をかけ、助っ人を頼んだ。
そうそう、先生にこれだけは聞いておかなくては。
「おなかがすいて抗がん剤で気持ち悪くなるということはないですか」
すると、「ないですね」とキッパリ。看護師さんが抗がん剤でないときに30分くらいならば食べてきていいですよと言葉を添えてくれた。「いいです。食堂の売店でおにぎりを買ってきたので、どうしてもおなかがすいたらそれを食べます」と言ったが、病人になっても食い意地が張っている人だと思われたことだろう。
ところで、注入針を刺す助っ人として上から来たのは女医の飛鳥田先生。「あ、ホームページ見ましたよ」と挨拶してくれた。
入院時の病室ではスムーズに針が刺せたが、今日は飛鳥田先生も手こずり、前回は利き腕じゃないほうがいいでしょうと配慮してくれたが、今回は少しでも確実な右手を選んだ。血管がわかりやすい日とそうでない日があるのだろうか。
看護師さんが「パラプラチンがあるので、末梢だと血管痛が出るのでだめだそうです」とK先生から聞いた注意を伝える。飛鳥田先生はよけい緊張ぎみ。「いいです、ここでやってみます」といってブスリと刺したが。無事に入った。
「すみませんね。私も入院したときに、針を刺してくれたのが1年生だったんですよ〜。緊張するとこわくて、よけいに痛く感じるんですよね」と笑って去っていった。患者の気持ちがわかる先生だと、その言葉だけで緊張した肩こりがとれるような感じがする。痛いのは最初の一針を我慢すればいいだけなのだが。
さてさて、12時30分頃から終わったのは4時ちょっとすぎ。途中1回トイレに行った。今日の薬は4つ。2、3(?)剤目に抗がん剤が入るので、そのときに中座すると液が漏れるといけないので、なるべく違うときに行ってくださいと言われた。
別の患者さんに抗がん剤を入れた後に、「これはただの水です。お薬が管の間にまだたまっているので、それを全部流すために使います」と説明していた。入院したときに、抗がん剤ベテラン患者が「流し」と呼んでいたのはこのことなのだろうか。
薬を交代したときは覚えているが、あとはほとんど寝ていたようで、「ハイ、終わりました」と言われたときには、「エーッ、もうですか」と寝ぼけ眼で答えてしまった。寝るのはとても気持ちがいい。本を読んでいる人もいたが、治療を受けつつ寝るというのはよさそうだ。アイマスクやタオルを目にかけて寝ている人もいた。私も次回からは用意していこう。
ところで、枕の上に敷かれた紙の上に落ちた髪の毛を数えたら15本もあった。枕の上でご臨終という感じで、拾い集めつつもこれで抜け止まりしてくれたらなぁと思った。トイレに行って鏡を見たら、朝起き抜けの顔のようにむくんでいる。
ボーッとした起き抜け気分は、病院の支払い段階になって、一気に吹き飛んだ。3万5000円を用意していったのだが、「4万80円です」と言われ、「すみません、お金おろしてきます」と銀行にかけこんだ。血液検査費と抗がん剤治療費で4万円か。それでもって、効くか効かないかは、当たるも八卦、当たらぬも八卦の占いか、ばくちの世界であるというのは………しかたない、これが現実なんだ。
●12階病室へ顔出し
12階の病室へ行ってMさんとOさんのお見舞い。Mさんは10月8日退院だそうだ。病室には食道外科、なんと他の階から整形外科の患者まで入っていて、4つのベッドのうち、肺関係はMさんだけ。違う病気だし、80歳以上の高齢の人が多いと話が合わないよねと言っていた。
「あんた太ったね。(打ち消すと)いや太ったよ。顔なんかまん丸」とショッキングなことを言う。実は退院してから1kgまた元に戻っているのだが、やはりダイエットが必須なようだ。
病室のニュースとなると、あまり明るいものはない。隣の病室に長い間いた女社長さんはボスのような風格があったが、9月20日に容態が急変して亡くなったそうだ。
この間外来で来たときにお見舞いにきたXさんが今度入院する。イレッサを使っていたが、どこかが再発したらしい。
男性患者のOさんは第3クールの抗がん剤治療を始めていて、すごく効いたために食欲も出て、痛み止めのモルヒネを取り替えるのも忘れるぐらいだと言って元気だった。よかった。患者思いのK先生のことをほめていた。医療に関しては怒るテーマをいっぱいもっているOさんだが、信頼できる先生と出会えたのは何よりだろう。徹底的に治療をするために、各クールの間も一時退院せずに、12月までは病院で過ごすそうだ。
この間検査入院した若い人も入院していた。Oさんのすぐ隣には20〜30代くらいの若い人がいたが、さすがにがんではないらしい。けれども、患者仲間のいろいろな話を聞くと参考になりますと言っていた。
●考える人に変身〜
外来治療と見舞いを終えて戻ったら5時だった。途中ノラ猫2匹にひっかって写真撮影をしていたから遅くなったが、徒歩15分で仕事場に着くというのはありがたい。
その後、すぐ外出。「あーあ、洋服で4万円ならば考え直すのに、治療だと有無を言わせず出ていくんだな〜。命と健康の値段って高いな。治療をして10年、しないと2-3年しか生きられないとしても、その差は宇宙からみたらゴミみたいな年月なのに、個人にすればその何年かが重要なんだよなぁ。効くか効かないかといったって治療をしなければ確実にがんは大きくなるわけだし」などと、とりとめもないことを考えながら歩いていた。
|
若いときに「頭に浮かんだことをすぐ言葉にするんですね」と言われたことがあるが、このごろは頭に浮かんだことをすぐ忘れるようになってしまった。だから、病気を機会に人の言葉に注意を払うようになったのはとてもよいことだと思っている。あとは三日坊主にならないことだけだ。
|
 |
|
|
|
|
03/9/29(月)
|
毎日新聞9月29日付によれば、関節リウマチなどの痛み止めに使われる薬を併用すると、肺がん治療のための抗がん薬の投与が通常より少なくても効果が上がることが日本癌(がん)学会総会で発表されたそうだ。
|
高橋隆・同センター分子腫瘍(しゅよう)学部長らは、肺がん細胞の中では、「COX―2」と呼ぶ酵素の一種が過剰に増えていることを発見。抗がん剤を投与すると、この酵素がさらに1・5倍以上に増えることも解明した。
樋田医師らは、この酵素の働きを阻害する効果を持つ消炎鎮痛剤を同院の患者約10人に投与した。その結果、がん細胞を半減させるのに必要な抗がん剤の量が、抗がん剤だけを使った場合に比べて約3分の1で済むことが分かった。抗がん剤の効果が増強されるため、樋田医師らは「副作用の少ない新しい治療法になるのでは」と説明している。(毎日新聞03.9.29より抜粋) |
これらの内容については愛知県がんセンターのサイトから辿っていくと書かれている。愛知県がんセンター関連では、「肺がん手術5年後の生死、遺伝子で予測」
(朝日新聞9月11日)というj記事があった。
|
|
|
03/9/26(金)
髪がハラリ・・・ |
22日頃から髪の毛がハラリと抜ける。月曜日にシャンプーしたら、10本くらい束になって手についてきてギョッとした。「髪が抜け出した!!」と騒ぐのに、周囲は「今は抜け毛の季節だからだよ、ほら、こんなに抜けるよ」と自らをひきあいに出して慰めてくれる。だが、それにしてはハラハラと抜けすぎる。前のほうにさわると、ハラリ2-3本、後ろのほうをさわっても本来ならば短くでまだじょうぶなはずなのに1〜2本ホロリと手についてくる。弱々しそうな息も絶え絶えといった髪の毛ではなく、まだこれから成長過程にあるような一見するとじょうぶそうな黒髪である。
抗がん剤で髪の毛が抜けたという人は3週間ぐらいたって、サラサラと抜け始め、2日間くらいで全部抜けたという話だった。それに比べれば髪の毛が残っているだけましなのだが、1回に数本レベルでも、さわるたびに手についてくるとあせる。もしかしたら抜けなくなっているかもしれないと思ってさわるとまたハラリ。髪の毛を無理に抜こうとするとイタタタとなるはずなのに、痛みも何も感じない。「あんたなんかに未練はないよ」と髪の毛のほうから地肌に三行半をたたきつけて滅亡の道を選んでいるような感じである。
髪の毛を洗うから抜けるのだろうと3日間洗わなかった。ところが、「洗わないと地肌が弱ってますます抜けるよ」と言われ、そーっと洗うことにした。私は頭のはげている人を「ハゲ」などと陰口をきいたことはないので、その点ではやましさはなく心安らかだが、何かというとハゲなどと悪態をついてきた人は、身につまされていることだろう。それにしても、毎日毎日ふだんよりも多い毛が抜け続けているというのに、まだ髪の毛が残っているのが不思議でならない。私の毛は一般の人よりも細く少ないというのに、まだまだがんばっている。髪の毛はエライと妙な感心をしている。
今日、友人のHさんは大腸癌で死んだ人の葬式だそうだ。亡くなった人(70代くらい)も抗がん剤で髪の毛が抜け、その後は真っ白な毛が生えてきていたと話してくれた。私は年齢の割に白髪が少ないと思うけれど、抜けてしまって新しく生える髪が全白髪だったら、そのほうがよほどショックが大きい。
今日こそはと抜けなくなっているかもと思い、さわるとパラリ。今気づいたのだが、抜けるのは10割が黒髪。そこで、不特定多数の黒髪でなく、この機会に白髪を抜いてやろうと思い、1本選んで引っ張るのだが抜けない。うーむ、人生はなかなか思うようにいかないようだ。
●緑茶のカテキンが・・・
緑茶のカテキンががんを防ぐということはよく知られるようになったし、お茶の団体でも消費を拡大するために、お茶が健康によいことを積極的にアピールしている。だが、9月26日の読売新聞では、「緑茶に多く含まれる「カテキン」が細胞内のDNAを傷つけ、がんを発症させる仕組みを三重大学医学部の川西正祐教授(衛生学)のグループが突き止めた」と紹介していた。この研究結果についても日本癌学会で発表されるのだそうだ。記事には、「緑茶ががん発症と関連がありそうなことは、疫学調査や動物実験で指摘されていた」と書いてあるが、お茶の栽培は農作物まみれと言われていたので、いくらカテキンが健康によいからといって、ガブガブ飲んでだいじょうぶなのだろうかとは思っていた。実験結果によれば、「人間の細胞に緑茶に含まれる約40倍の濃度のカテキンを与えると、通常の状態に比べ1.5〜2倍、DNAが傷ついた」のだそうだ。
それにしても、この間までは健康によいといわれ、今日は問題ありという食品がなんと多いことか。よいとなるとドドッとくいついて、だめとなるとパッと離れるのは日本人の悪い癖で、「思いッきりテレビ」で紹介される食品もいまや3日しかブームが続かないそうだ。
|
|
|
03/9/25(木)
医療事故で死にたくない |
慈恵医大青戸病院の医療事故は信じられないという思いだった。3人の医師が業務上過失致死容疑で逮捕されるというのは、これまでにないショッキングなことだ。表沙汰にならなければ手術時の出血多量死、不可抗力、力及ばなかった手術事例として片づけられ、手術に成功すれば医師としての実績をあげたことになったのだろう。逮捕された医師が反省しているかどうかは知らないが、心の片隅では運が悪かったと思っているのではないか。
|
・東京慈恵会医科大学付属青戸病院で前立腺がんの摘出手術を受けた男性(60)が死亡。
・逮捕された医師らは「(成功症例を確保し)実績を上げたかった」と供述。
・「自分たちだけで手術を」との訴えに対し、診療部長は倫理委員会などの承認手続きを取らずに指導医の立ち会いなしの手術を許可した。
・院長は25日に記者会見し、「体制を見直し再発防止に努めたい」「難易度の高い手術に挑戦するのは大学病院の使命。仮に倫理委員会に申請していても承認されたと思う」と反論。
・日本内視鏡外科学会は、「助手として10例以上、術者として指導委のもとで10例以上」が腹腔鏡手術を行えると定めている。 |
手術の前に麻酔を打たれたときに、「このまま死ぬかもしれない」と思った。そういう患者は多いようで、「意識がないままならばそれでもよい」という人もいれば、「身の回りを整理してあるわけではないし、死ぬとは思わずに手術を受けるのだから不本意」という人もいた。医師たちがいくら頑張っても不慮の出来事は起こりうるもので、そのために命を落とすこともあるかもしれないが、今回のようなケースは技術が未熟で無謀だったわけで、許せないと思った。
病院側は「説明し、納得して選択してもらったと聞いている」と話し、遺族側と食い違いを見せているとのこと。私の場合、手術の説明を受けるときにはノートに細かくメモしたが、以後同じ部屋で説明を受けている人を見ていてもメモをとらずに聞いているのが不思議だった。ある患者さんが「あれだけ手術後の可能性を言われるとこわくなるよ」と言っていたが、病院側としてはきちんと説明したうえで納得して手術を受けてもらうわけだから、最低限のことをしているわけだ。しかし、あれだけ説明を受けていると、何か起こったときに「危険性の範囲内だった」と説明を受ければなんとでも言い含められるなぁとも思った。私は、次の入院のときから、治療に関する説明のあるときにはデジタルレコーダーで記録するようにしたが、その場で聞いたときには「なんとなく」わかったつもりだったが、聞き返すとよくわかった。 |
|
|
|
03/9/18(木)
友人からのメール |
●同感、共感のメール
四国に住む友人(60代、男性)に、ひとまず退院した旨を知らせると、折り返しメールが来た。彼は、交通事故で瀕死の重傷を負ったことがある。本人の了承を得て、一部ここに掲載することにした。
【Nさんより】
入院日記しっかりつけていますね。読むと光景が浮かんで僕も入院生活が思い出されてきました。僕は○○様のように100まで生きるための点検整備で入院しているのとは訳が違いました。「会わせたい人がいれば今日中に面会さすように」と言われ、この世と別れを告げて手術室へと運ばれました。まさにこの世との第1幕の終わりでした。暗黒の世界と姿が見えても、振り向くことも、声を出すこともできない会話のない世界を見ました。幻覚のなかに浮かぶ人の姿はこの世にはいない人ばかりでした。こんな世界から抜け出したいと思ってもどうにもなりませんでした。今も思い出すとぞっとします。
yururi様は、いつ退院できるかわからない僕に比べれば幸せでしたよ。治療がすめば退院できますから。病院は社会の縮図ですから勉強になりますよね。それでも、自分よりずっとかわいそうな患者がいっぱいいて、なんだか自分と比較しホッとするときがありました。人として、恥ずかしい、みにくい心の貧しさを感じたことでした。
だから病気の時の気持ちはよくわかります。僕は常に明るい方向に自己暗示することにしていました。人生には谷あり、山ありですから病気も人生の一部なんだと思って入院生活を送ったことでした。(以下略)
この人が送ってくれた著書の中に、入院日記があり、私も入院しながらいろいろなことを考える姿勢を学びたいと思っていた。昨年、手術後は痛み止めが効いてか常にボーッとした状態だったが、今年の入院は抗がん剤だけでいたって元気だったので、メモメモ生活を十分楽しめた。
●うれしかったメール
それから、入院中お見舞いに来てくれた仕事先の友人Sさん(40代、男性)からのメール。オババなんて失礼しちゃうけど、私が30代のころからオババと言っていたような気がする。ま、悪気がないからよしとするか。
【Sさんより】
あの明るいyururiオババが、病室で暗く落ち込んでたらどうしよう!
そう思いながら、田端駅からの、緩やかだけどなんかきっつい登り坂を歩いて病院に行ったんです。そしたら、なーんのことはない、いつものオババがパソコンを打ってる!ほんと、安心しました。
もちろん、入院生活、治療の大変さはこの数年間で4度入院した僕はよくわかります。でも、一番大変なのは、病気の恐怖に負けないこと、ですよね?肝臓を患った時、そう痛感しました。
yururiさんのHP、ずっと読ませてもらいました。好奇心旺盛でいろんな人とすぐ仲良くなる、yururiさんらしい文章です。
それにしても、「ゆるり」っていい言葉ですね。今度、なんかの機会あったら、この言葉もらっちゃおう!
月並みだけど、「がんばってね」
がんというと、みんながびっくりすると思い、日程的に仕事に影響が出そうなところだけ、病名を伝えている。ヘタに伝えてしまうと、噂に尾ひれがついてyururiさんはもう余命短いんだってとオーバーに伝わりかねない。しかし、がんというのは仕事をしたくないときには誠に「使える言葉」だとわかった。10月中旬に入っていた仕事は、いったん引き受けていたのだが、入院が決まったから断ることにした。「実はがんで、昨年手術をし、再発して抗がん剤治療が始まるんです。それで、どのような具合になるかわからないのでご迷惑をかけではいけないと思い、お断りの電話をしました。別の人を探してください」というと、先方はオロオロ、しどろもどろになり、「頑張ってください」と励ますのがやっと。抗がん剤治療というと、恐ろしいイメージがつきまとうようだ。別の仕事は、例年やっているものなのだが、病気を知っている担当者が他の人に割り振って仕事を軽減させてくれた。今回は抗がん剤治療の副作用がどう出るかわからなかったので、入院前に断ってしまっていたのだが、あまりやりたくない仕事のときに「がん」は都合のよい断り文句になると思った。
といっても、「体を十分いたわって無理しないでね、ところでうちの仕事はいつからできそう?」なんて、自分のところの仕事だけはバッチリやってもらおうと手ぐすねひいている人もいる。そうやって仕事をくれる人がいるのはありがたいと心から感謝できるようになった。昨日も、入院を知らない関係先から「打ち合わせにきて」と電話がきて、行ってきた。だが、「病気のんびりムード」から「お仕事全開モード」まではチンタラチンタラ進みそうである。 |