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03/12/09(火)
腫瘍マーカー13.6に減少

 腫瘍マーカーは11月11日の16.3から13.6に。約1か月間で2.8下がった。先生からは「無事に3クール終わって、白血球もあまり下がらなかったし、よかったですね」と言われた。「無事に」という言葉がありがたかった。副作用もなく、元気に乗り越えられる薬を選んでくれて感謝。次の外来は年が明けてからだが、それまでの注意事項としては風邪をひかないようにとのことだった。

 さー、インフルエンザの注射を打つぞーと思ったら、近所の医院ではワクチンが切れてしまったそうだ。腫瘍マーカーはもっと急激に下がってくれたほうがいいのだが、新たなガン細胞が増殖していないということだからいいじゃないと身内に言われて、少し安心した。

 髪の毛はまた生えだしてきたのか、あまり気にならなくなった。先週は最もひどい時期だったのに、仕事で初対面の人が多かった。この人、かわいそうに髪の毛が薄いのねと思われたに違いない。女性でも地肌が見えるくらい髪の毛が薄い人を見ると、これまでは気の毒だなと思っていたが、このごろは病気のせいかもしれないと思うようになった。みんないろいろの事情を抱えているんだろうな。


03/12/4(木)
髪の毛最薄

 治療を通じて髪の毛がしだいに少なくなっていったが、第3クールでも2週目あたりからハラハラ抜けて、分け目の部分がだいぶ薄くなってきた。うーむ、我ながらなんだかあわれを催す風情になっている。美容院に行って事情を話し、少し短くカットしてもらったが、これ以上は無理だそうだ。「後ろのほうはたくさんあるのにねぇ」と言われてしまった。髪の質も悪くなっているそうだ。とりあえずこの状態が底で、今後は少しずつ生えてくるだろうと期待している。


03/11/26(火)
鎌田先生の考える「良医」

 11月24日付日本経済新聞「医師の目」に諏訪中央病院管理者の鎌田先生が名医より大切な「良医」をテーマに書いていた。
 先生の「病院なんか嫌いだ」(集英社新書)を読み、感銘を受けたが、その中に「良医にめぐりあうための10箇条」や「いい患者の10箇条」「日本の医療の再生をめざすための3つの質問」「日本を元気にする医療改革−−日本の医療保険制度の3つの特徴」「元気で長生きするための七つのコツ」「老いても健康でいるための3か条」など、抜粋して紹介したい内容が数多くあった。
 新聞には先生の考える良医の解説があるから、先生はこれを広めていきたいのだと思い、私も書くことにする。

鎌田先生は「名医」ではなく、たくさんの「良医」が必要として次ぎのような10箇条をあげている。この10箇条について本ではさらに詳しく解説されているから、より納得がゆく。 

良医にめぐりあうための10箇条
 −−かかりつけ医を選ぶコツ

       諏訪中央病院 鎌田實先生

 1)

話をよく聞いてくれる。

 2)

わかりやすい言葉でわかりやすく説明してくれる。

  3)

薬や検査よりも、生活指導を重視する。

  4)

必要な時は専門医を紹介してくれる。

  5)

患者の気持ちまで考えてくれる。

  6)

患者が住む地域の医療や福祉をよく知っている。

  7)

医療の限界を知っている。

  8)

患者の痛みやつらさ、哀しみを理解し、共感してくれる。

  9)

他の医師の意見を聞きたいという患者の希望に快く応じてくれる。

10)

ショックを与えずに真実を患者に伝えられる。



03/11/24日本経済新聞

 それにしても、文字変換ソフトATOKで「名医」は一発で変換されるのに、「りょうい」は出てこない。三省堂の大辞林では「良医=診療・技術の優れた医者」とあるのに、良医はまだあまり普及していない言葉なのか。次ぎのバージョンでは一発変換できるようにしてほしい。


03/11/25(火)
特に変化なし


 今日の予約は9:00。診療カードを受付BOXに入れ、採血室へ。8:30開始早々に行ったのに順番は「18」だったからガッカリしたが、ラッキーなことに外来で呼ばれたのは一番だった。
 白血球3300、好中球1540、血小板17万9000だから、白血球を上げる筋肉注射もしなくてよいという。(うーん、前回の点滴は21日だから、その影響が出始めるのは28日以降ではないかと思ったが、ついつい黙っていた。前回次回外来は12月2日と言われたのを仕事と重なるからと早めてもらったからだ。その間は自分で気を付けることにしよう)。

 次回は12月9日に採血(腫瘍マーカーもチェック)とレントゲンということになった。
 病棟にMさんを見舞う。「こんな(イレッサだって)のを朝1錠飲むだけなのに入院しているんだよ」という。治療中に熱が出て薬を一時やめたこともあったそうで、入院していると途中経過をチェックできるから安心か。それでも、やはり入院はいやだね〜と、二人は意見が一致した。
 そして、洗面所の扉に注意書きが大きく掲げられているのに気付いた。消灯時間後、起床時間前に洗面所を使うなという注意書き。やったぁ〜。この「騒音」に対して同室のTさんが苦情を訴え、今回の運びになったそうだ。もう入院はしたくないけど、とりあえず、よかった。


03/11/24(月)
小学生のころ

 昨日の日本経済新聞のエッセー「ちょっと気ままに」では大原健士郎先生(浜松医科大学名誉教授)が「孫娘の愛情を知る」のテーマで書いていた。
「おじいちゃん、いくつまで生きるの?」「今、いくつなの?」と孫(小学2年生)に聞かれた大原さんが73歳だと年を答えると「それじゃあ、まだ大丈夫だ」と言って、にっこり笑ったそうだ。
 そして、大原先生も小学生のころに「人間はどうして死ぬのだろうか」とか「両親が死んだらどうしよう」とか悩んで夜も眠れなかったことがある、と書いている。

 これを読んで思い出した。私も10歳のときに、いまの倍生きて20歳、その倍で40歳、80歳、その倍までは生きられないと思うと、ものすごく悲しくなった。そのころには親もいなくなるし、どうしようと思うとただただ悲しかった。今、無邪気な小学生を見ていると、「死」を考えるなんて想像もつかないが、大原先生も考えていたのだから、みな人知れず考えて大きくなってきたのだろう。夜、針仕事をしている母親に「今、いくつになったの?」と聞いて「34歳、もうおばあちゃんになっちゃった」という答えが返ってきたときも、「年をとる」ということがものすごく悲しかった。今、母はその倍以上生きて元気だし、私もとっくに母の34歳という年をクリアした。
 人生の倍々ゲームなんてあっという間に経ち、どのみちこの先50年なんて生きられないが、もう悲しくなくなった。後悔しない人生を送れればそれでよいと思う。 


03/11/23(日) 
健康体操

 今朝の日本経済新聞に生島ヒロシさんの健康法がのっていたが、私もこれと全く同じことをしている。生島さんは「ゴキブリ体操」(写真)と名付けているが、私は「ブルブル」と呼んでいる。「両手両足を垂直に上げブルブルと小刻みに1分ほど奮わせる」と書いてあったが、写真よりも手はもう少しまっすぐ伸ばす、それと、足はかかとのところで垂直にし、膝はなるべく曲げないようにと教わった。そうすると、腹筋にものすごく力が要るから、1分がとても長く感じられる。く、苦しいなどと言って時計を見ると30秒くらいだったりする。「80歳の方が50分くらいやっても平気ですよ」と10年ほど前、この体操を教えてくれた先生が言ったが、とんでもないことだと思った。でも、これを毎日やっている人が腹筋が強くなったと言っていた。

  この体操は毛細血管の運動で、脳溢血防止によいと聞いて、時々やっているのだが、入院中はひまなので毎日やっていた。最低1分と言われたが、どんなに慣れてもキツイ体操だ。
 もう一つ、生島さん推薦の金魚運動。あおむけに寝てひざを延ばし、床から少し浮かせて足首を直角にする。両手は組んで首の下に当て、金魚が泳ぐように胸から下を細かく左右に揺らす。これは50回くらいと言われた。腰痛持ちなので金魚運動をすると気持ちがよい。私は気功をする先生から教わったが、生島さんは「伝統医学では体の中の血液やリンパ駅などの流れをよくすることが健康維持につながるそうだ」と言っているから、中国辺りから来ているのかもしれない。生島さんの場合は体の不調がなくなって新しいことにチャレンジする意欲がわいてきたそうだ。

 毎日やるようにと言われた体操は私の場合、もう一つ。寝て両手を後ろに組み、膝を揃えて曲げる。それを両足を揃えたままで左右に倒す運動。それがすんだら、足を曲げたままで開き、片方ずつ片側の足へ倒す。ただこれだけだが、慣れないと意外に曲げた足が床につかない。
 この体操を毎日1セットでやるとよいと言われたのだが、ちょっとまじめさに欠けていた。今日からまじめにやることにしよう。


03/11/22(土) 
病院選びのマニフェスト??

 病院の長い、長い待ち時間はなんとかならないものか。病院に対する不満ではどのアンケートを見てもこのことがあげられている。朝日新聞11月22日付には、「患者は「顧客」、病院にもマニフェスト 学会発足へ」というタイトルがあった。なんじゃこれ、タイトルだけでは全然わからない。
 
 「医療の質や患者の満足度を高める」「病院経営を効率化する」。一見、両立しそうにない目標を、病院全体の取り組みで達成しようという試みが始まっているというニュース。患者を「顧客」ととらえ、企業の経営管理手法を応用するという試みで、11月22日には34人が発起人となって、「日本医療バランスト・スコアカード研究学会」という学会も立ち上がるそうだ。近頃は「患者様」などと様付けで呼ばれることはあっても、やはり患者よりも医者、病院のほうが優位に立っていると感じられる。患者は医者に診ていただくという謙虚な気持ちをいつも持ち合わせているが、医者の心理としては「診させていただく」でなく、「診て差し上げる」といったほうが適切だろう。ただし、病院は病院経営を考えれば、やはり「〜させていただく」精神が根底にいつもあることが大切である。それは病院の施設が豪華であるとか、病院スタッフの対応が丁寧であることとかとは無関係である。

 この経営管理手法は「バランスト・スコアカード」(BSC)と呼ばれ、90年代に米国で広まった。病院全体で大きな目標を立て、経営サイドや医療現場でどうすれば達成できるかを考え、それぞれ数値目標を設ける。達成度を定期的に評価して方法を修正、工夫を加えていく。医療の質や患者の満足度を上げるには、設備投資や人材の確保・育成が必要で、経営的な視点が欠かせないとする。 (11/22 朝日新聞より)

 待ち時間の短縮など様々な数値目標を示す病院版のマニフェスト作りも含まれるとして、熊本市の済生会熊本病院の例があげられていた。
 「選ばれる病院づくり」を目標に掲げ、「医療の質の向上」「人材の確保と育成」「財務管理と業務の再検討」などの観点で話し合い、「紹介状を持参した新規患者の待ち時間を18分から14分に」「診療に無関係な経費を10%削減」などの数値目標を立てたところ、達成に向けた意欲が高まり、患者満足度目標の9割ぐらいが達成できる見込みだそうだ。

 「BSCを導入する医療機関が増えれば、全体的な医療の質も上がる」というのは納得できる。それにしても、患者満足度というのはどのあたりに基準を置き、誰が設定するのだろう。病院関係者や経営関係者が考えて、患者は不在だろうか(きっと患者アンケートで推測するのだろうけ れど)。

 発起人会の事務局長さんのコメント「数値目標は、患者にとって病院選びのマニフェストになるのでは」もよくわからない。このごろ急に選挙で注目された「マニフェスト(英訳では宣言書といった意味)」という言葉を使っていること自体、あまりあてにならない感じがする。患者は圧倒的に高齢者が多いのに、その人たちに「病院選びのマニフェスト」と言ってもチンプンカンプンのはず。いくらインタビューした本人がそう言ったからとはいえ、そのまま書くなんて記者も能がなさすぎる。基準とか目安でどうしていけないの???


03/11/21(金) 
第3クール2回目&メスとパレットII

 ●やはり半日以上はつぶれる
 
9:30の予約だが、8:45に採血室へ。こうしておけば9:00に採血が終わり、30分後に外来診察、それから多少待たされたとしても今日の予定は2剤だから、午前中には終わると自分で勝手に計画を立てていた。
 ところが、病院ばかりは思うようにいかない。
 大体において採血は順調に進む。この日も20番。初めての技師さんだったが、右腕の正中線というところを一発で刺してくれた。「血管が深いんですよね。私もそうなんです」と言われるとホッとする。廊下を歩いていて顔見知りの技師さんに会ったので、「今日は(手首でなく)腕でとれました」と喜んで挨拶したら、「よかったですね」と言われた。

 さて外来診察。10時まで待たされた。
・以前は第4クールまでやるとも言われたが、どうなのか。答えは第3クールまで終えて様子を見たい。白金系の抗がん剤は長い期間はやらない。最近の抗がん剤は少ない量を長く続けられるが。
・インフルエンザの注射は12月2週以降に。受けておいたほうがよい。
・腫瘍マーカーの数値が下がったが、実際の見た目は小さいのに腫瘍マーカー値が大きいことについて。大きい腫瘍なのに腫瘍マーカーが小さい人もいて個人差がある。

 入院していたときに一緒だった患者さんにも会ったのだが、「お元気そうですよ」というと、「見た目はね」とちょっと寂しそうに笑った。若いのだが、遠方から外来に通うのも大変ということで入退院を繰り返している。今日は入院後の抗がん剤治療のようだ。
 ところで、抗がん剤治療を受けられる部屋には8人しか入れないから、朝一番が入室してしまったら、どう早くても10時半以降しか順番が回ってこない。飲み屋で客が一回転するのをじっと待つようなものである。
 
 点滴を刺してもらったのは12時になっていた。K先生がチャレンジしてくれたのだが、1回目は血管が見つからず結局は温めるはめになった。ようやく腕が赤くなって、おっ、これはいいぞと思ったのだが、2度目のチャレンジもやはり見つからず。今日は(血管痛の出ない抗がん剤1剤なので)左手首のところにブスッ。ギャー。K先生の初めての注射もこれか。かくて1時すぎまでかかった。一日仕事とは言わないが、待ち時間だけで時間がすり減っていくので、帰ってからもグッタリ。これが高齢で身体の悪い人にとってはつらいだろうなぁ。

 ところで、気になっていたOさんについてK先生に質問した。
 「Oさんは急変したんですか」。私は唐突に質問するけれど、先生は「OさんってO.Tさんのことですか。いいえ、少しずつ悪くなっていたんですよ」。これだけで納得がいった。Oさんはモルヒネを使って痛みをなくすようにしているだけで自分では決して末期だとは言っていなかったけれど、ものすごく悔しい思いをしていたのだろうなぁ。

 ●メスとパレットIIを購入
 
そうそう、朝一番で売店に行った。この間紹介されていた森武生院長の「メスとパレットII」を買おうと思ったからだ。

 ところが、本が置いてなかった。でも、待合室で待っていると、後から座り、その本を読んでいる人が2人いた。「サイン本ですよ」と言いながら、大腸がんになったときに森先生にいかに世話になったかを話している人がいる。その話を聞いているもう一人は肺、脳外科など3度も手術をして、今日の診察は2科はしごらしい。がんが転移して手術をしても、たくましく生きているのだなぁと話を耳ダンボしつつ改めて感心する。6度も手術をした銀行マンが本を書いていたが、そういう人は案外ざらなのかもしれない。
 私の場合、火曜日の外来予約が多いので診察室2番にK先生がいる。金曜日にはK先生は1号室で、2号室は「森武生」と書かれていた。私ならばうっかり入って「間違えました、スミマセン」というおっちょこちょいは十分ありえるのだが、瞬間「あ、K先生じゃない」と思って1号室をノックした。あとから考えるとすごーく残念だった。

 というのも、帰りに売店に行ったら、サイン本が入荷していたので早速GETし、その日のうちに一気に読んでしまったからだ。こういう先生が院長を務める病院に出会えただけでもうれしかった(単純!)。遅ればせながら、1巻も購入することにしよう。


 森先生のサイン入り

 本を選ぶときには、最初、最後、真ん中をパラリ、目次でザザッと目を通してピンと来たら選ぶことにしている。日本経済新聞の書評では旅日記のことが多そうだからどうしようかと思ったが、絵もさることながら、文章がわかりやすく内容がいい!! 買ってよかった。この先生は家族との最初の旅行とか、海外で何を食べたとか食物に関してかなりよく記憶している。それと考えたことを素直に表現しているので、血液型はB型かもしれない、などとふと思った。


03/11/18(火)
好中球不足で治療できず

 ●日の出と駒込病院

 秋晴れ。たまたま6時:23分日の出を見ることができたので、駒込病院とともにパチリ。

(写真左端の建物が駒込病院。太陽がまるで万歳をしているみたいに見える)

 9:30の予約。8:45に採血室に着いたら、コンピュータの不具合が起きたそうで、手作業で進めていた。このままコンピュータが動かなかったら大混乱になりそうだったが、9時頃には復旧したのでホッとした。順番は18番目。カーディガンを指先まで伸ばし、手をグーパーして温めておいたのだが、いざ順番が来てその話を技師さんにしたら、「血液中の電解質の組成が変わってしまうから、採血をする前はグーパーをしないほうがいいんですよ。点滴の場合はいいんですけど。それ、知りませんでした?」などと言われてしまった。「うわ〜、白血球の数にも影響与えるかしら。下がると困るのだけど」と聞いたが、それには関係ないそうだ。結局、採血する際に血管が出にくい人はどのように事前準備をしたらよいのだろう。

 ●「うれしいですね」とK先生
 外来に呼ばれたのは10時すぎ。でも、この1週間は腰が痛かったら、もしかしたら白血球が下がっているかもしれないという気がした。それで、診察室に入って挨拶後すぐに「今日はだめ?」と聞いたら、案の定「そうですね、だめ」という返事。
 ぐゎ〜、がっかり。
 白血球3200、血小板16万4000、しかし好中球が930でアウトだそうだ。1000が基準だそうで、こればかりは私も70ぐらいおまけしてよとは言えない。

 そこで、気を取り直し、先週の血液検査でまだ結果を聞けなかった腫瘍マーカーに話題を向けたところ、「下がってますよ。16.3。腫瘍マーカーが下がるということはお薬が効いているということですから、うれしいですね」と先生が喜んでくださった。腫瘍マーカーが下がるということはガン細胞がどのようになるかということまで簡単に説明してくださった。
 それなのに、私は「ジェットコースターのように腫瘍マーカーが急に下がることはないのか」などと思っていたのだから、いやはやまったく。先生の「正常値に戻るまでは3か月か半年くらいかかります」と説明を聞いて納得。あとは途中から薬が効かなくなってまた腫瘍マーカーが上がらないことを祈るだけだ。
 今日は白血球を上げる皮下注射をしてもらって帰ることにしたが、先生にも「うれしい」と喜んでもらえてうれしかった。なんだかテストでよい点をとってほめられた生徒みたいな気分。

 ●Mさんを見舞う
 外来待合室に出たら、Wさんがいて、Mさんがまた入院したと教えてくれたので12階に見舞いに行った。放射線治療を終え、今度は外来で抗がん剤治療ができると思ったら、また入院しイレッサで治療するそうだ。今度は別のリンパ節部分に転移があるとのこと。前には見つかっていなかったのに、いやだね〜と顔をしかめる。同じ病室に、これまで私が入院したときに一緒だった人がほかに2人いた。

 11月11日に、不機嫌そうな若い医者について書いたが、もともとの表情が暗いのだということに気付いた。この先生、2階に降りてきたときに患者が立ち上がって「先生、お世話になりました」と挨拶したところ、ニコッと笑い、その表情がとてもよかった。なんだ、こんな表情をもってるのに、ちょっと酷なことを書いたかなぁと思ったが、表情は心の持ちようで明るくも暗くもなるから、医者ならばやはり明るいほうがいい。
 ところで、駒込病院近くのお寺の境内で病院への行き帰りにノラネコを5匹見た。

 人の車の上に乗っかったり、玄関前の日だまりを占領していたり、思い思いにくつろぐネコたち。ネコたちを見ているだけで幸せな気分になれた。


03/11/11(火)
第3クール開始

   ●出にくい血管は温めろ
   雨降り。10:10の予約。9:20頃診察券を提出して、採血室へまっしぐら。すぐに順番が来て、最初から手首のところから採血してよいと言ったのだが、手が冷たいから(血管が)出ない、と言われてしまった。そこで、入り口の洗面所でお湯をためて、温めるようにと言い渡された。私の後のおじさんも「まぁ、あなたも手が冷たすぎ」と言われ、手を温めなければいけなくなったので愉快だった。やけどしないようにと言われていたが、どの程度だかわからなかった。「やけどしないぐらいの湯って言ったでしょう。そうすると、手の甲のところで採血できたから全然痛くなかったのよ」と女性技師さん。
 でも、この人はこの間も「採血後はギュッと1〜2分押さえるのが勝負」と教えてくれたから、気に入っている。今日もこの人に当たればいいなと思っていたら、その通りになった。
 
 ●外来診察
 診察券提出が早かったので、9:50に外来に呼ばれた。まだ採血の結果もあがっていないが、だいじょうぶでしょうとのこと。ここでアホな質問を2つほどしてしまった。その結果、インフルエンザの注射を抗がん剤治療の間にすると大変なことになる。歯の治療も白血球が少なくなる時期なので血が出たりするとまずいという回答を得た。後で冷静に考えると、私でもわかることなのに、とっさにそんな質問をしている。「このアホ、何考えとるんや」。私が医者ならそう思っただろうけど、駒込病院の先生はそんな表情はおくびにも出さずに穏やかに答えてくれる。
 
 治療室に入ったのは10:30だが、112号棟から若い研修医がやってきて針を刺し、治療が始まったのは11:00頃だった。もう飛鳥田先生も伊志嶺先生も他科へ移ったとのこと。血管が出にくいということを伝えて熱いタオルを当ててもらったので、今日の先生はラッキーにも1回で刺してくれた。がっちりと大柄な先生で、礼儀正しい。
 
 ここでは各科の研修医が来て、それぞれの科の患者に対して針を刺すのだが、中にはいちいち降りてくるのが大儀そうで、針が刺さらなくて「すみません」というのもすご〜く儀礼的に言う医者がいた。医療の激務で疲れ気味なのか、昨夜飲み過ぎて元気がないのか、彼女とうまくいかなくて不機嫌なのかはわからないが、看護師さんが薬の説明をするのを聞くのも気がなさそ〜な表情。これでは患者も心配になろうというもの。夕方ならばげっそり疲れているのもわかるが、朝から医者のほうがドン暗い顔をしているのはどんなものだろうか。研修医は若いのだから、もっとパワー、活力がある表情をしていてもいいのに。研修医を面接するときには、明るい人にしてほしい。医者の明るさが患者を励ましてくれることだってあるのだから。

 ●抗がん剤治療
 私が退院した日に隣の病室に入院してきたIさんが治療のときに隣のベッド同士だった。他病院では手の尽くしようがないとまで言われたのに、この病院では手術を引き受けてくれたということでものすごく感謝をしていた。彼は、リンパ節に再発したそうで抗がん剤外来治療の1回目だった。鎮痛剤なども飲んでいるらしい。私のほうが先に治療を終えたのだが、「じゃ、また来週、お互いに・・・」と言葉をぼかして別れた。「元気でね」「頑張ってね」。そういう思いをありったけ込めたのだが、分かってもらえたかなぁ。


03/11/10(月)
あれやこれや

 ●「あるがままに」はいい言葉
 日本経済新聞の日曜日に浜松医科大学名誉教授の大原健士郎先生が「ちょっと気ままに」のタイトルでエッセーを書いている。11月9日は「人生にはいくら努力してもどうにもならないことがある。〜だがどうにもならないことは積極的にあきらめて今、やるべきことをやることが大切だ。〜「あるがまま」に受け入れ、やるべきことをやるのだ。これを私は「あるがまま療法」と名付けて、患者に勧めてきた」と始まる文章だった。そして、「あるがまま」は誰が言い出した言葉かと考えるのだが、最後のほうで、釈迦の言葉であることがわかる。弟が悩みを訴えたとき、やるべきことをしなさいと言ったのだそうだ。人間の考えは様々だから、きっと釈迦のように考え、釈迦のように話した人はいることだろう。ケセラセラ、Let It Beとか、似たような言葉はいろいろあるけれど、「あるがままに」というのは、なかなかいい言葉かもしれない。

 ●死ぬ前にしたいことって
 「死ぬまえにしたい10のこと」という映画が公開されている。23歳の女性が、末期癌であと数カ月の命と宣告され、やるべきこと、したいことを実行するというのがテーマ。このタイトルを見ると、入院中に隣の病室にいた男性患者Oさんを思い出す。政治家になって医療の現状を変えてやりたい、それが無理なら政治家に知らせてやりたい、これまでの人生を病室で書き留めているけれど本にしたい、etcと言っていたっけ。0さんは、10も20もやりたいことがあったに違いない。途中退院しないで12月まで病院にいて治療を続けると言っていたが、亡くなることがわかっていれば退院して好きなことをすればよかったのにという気がする。


03/11/4(火)
CTの結果

 今日は前回撮ったCTの結果がわかる日である。もし悪くなっていたら、いままでの治療は何だったのだろう。でも、もう結果はわかっているのだから、クヨクヨ考えてもしかたがない。そう思いつつ病院に向かったけれど、今日もやはり1時間以上待たされた。

 ●ドキドキドキ
 名前を呼ばれた。診察室に入った瞬間、先生の顔色を伺ってしまった。
 
 ――深刻な話かなと思ってドキドキしました。
 「10月30日に撮ったCTを以前の3か月前のものと比較したんですけれども(と目の前のCT写真をさす)、レポートも返ってきたんですけれどもね(と今度はレポートに目をやる)。肺のほうには特に影は何もない。悪いものはないですよ。もともと前に炎症があったときもそうですけれども、縦隔のリンパ腺なんですよね。そこの部分はもともとこっちなんです。こちらが前です。ちっちゃく腫れているところがあって、この部分を見ていたんですけれども(とCT写真をさしながら説明してくださる)、その部分に関してはあまり変化がないんです。ただ小さいから何とも評価がしずらいというのが放射線科の先生・・。これだけではなかなか評価できないとは思うのですけれども、少なくとも3か月、間を空けてみて前と変化がないということは、大きくはなっていないということなんですよね。ということは、薬の効果としてそこそこあるなぁと。あと腫瘍マーカーも下がっているし」

 ――えっ、腫瘍マーカー、とったんですか。
 「前のとき、9月のときに測ったんですけど」


 ――数値、聞いていなかった。
 「あ、そうですか。腫瘍マーカー、一時ポンと40まで上がったでしょう。それが9月の時点では29.8まで下がってきているんですよ。そういう点では治療効果としては結構あると思うんです。
 ですから、今2クールやってひどい副作用が出ていないので、多少肝機能に影響は出ますけれども、それで例えばひどく黄疸が出たとかということはないので、もう1クールちゃんとやっておいたほうがいいと思います。ですから、やる時期に関してはよほど先にならなければ年内のうちにやっておけばいいかなというぐらいです。あとは○○さんのご都合しだいです。どうしましょうか。
 同じようにオクスリを入れて問題がなければ次(週)の日に入れてという感じになりますねー。

 (その後、仕事のかねあいを見て、11月11日から3クール目を始めることになった) 
 これで3クール終わって、終わったところで少し経過を見る感じになります」
 
 ――それで、またしばらくオクスリが効かなくなってまた違う薬とかいうのはもうちょっと先になりますよね。
 「そうですね。このCTとかリンパ腺の評価だけではちょっと難しいので、腫瘍マーカーとかを見ながらという感じになるんですよね。いずれにしても今回3クール目が終わってからは1〜2か月様子を見ます」

 ――先生、私、腺がんだと聞いたんですけど、本とか読むと腺がんって抗がん剤が効きにくいとかなってるけど。
 「効きにくいとなってます?それは小細胞がんと比べたらでしょう(「そう、そう、そう」と私)小細胞がんは特別に効くんです。小細胞がんってたちが悪くて、一番やっかいなんです」

 ――わかりました。そんなに悲観することもないんですね。
 「いま、腺がんだからどうってことはあまりない」(とキッパリ、キリリ。このニュアンス、気に入っている)
 ――わかりました。ありがとうございました。

 今日はこれだけの会話だが、それでも8分近いやりとりだった。待っている間は2時から3時まで6人の診察があったから、平均して1人10分ぐらい。私も平均時間だったというわけ。この後に、今後のスケジュールについてきいたのだけど、それを加えてもせいぜい2分くらい。文字で書くと数分のようだけど、会話って意外に時間がかかるのだなぁとわかる。

 ところで、悲しいことがあった。診療を終えたところ、坂口先生が通りかかったので、Oさんは元気かと尋ねたところ、顔を曇らせて「2週間前に亡くなった」と教えてくれた。10月7日にはまだ生きていたわけだから、中旬くらいだったのだろうか。なんとなく、本当になんとなくだが、具合が悪いのではないかという気がしていた。残念。