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04/3/7(日)
生きている実在感と幸福感って

 NHKの「プロジェクトX」で感銘を受けたもののうちの一つ、「世界最速のコンピュータ」に挑戦した富士通の再放送を見た。どうして同じシーンでパブロフの犬のように目が潤んでしまうのだろう。

 ミスターコンピュータと慕われた技術者池田敏雄さんと、若い技術者たちの物語。前回見たときには、すばらしいコンピュータを開発した技術者が、営業マンとしてコンピュータを世界中に売り込む旅に出て、過労によりクモ膜下出血に倒れたということが不思議だった。富士通ほどの大会社がなぜそこまで酷使したのだろうかと思ったが、うちの相棒によると、「それは開発した人じゃないと説明できないことがあるじゃない」の一言で片づけられた。

 それにしても、プロジェクトXは田口トモロフさんのナレーションがいい。(以下グレーの部分はNHK TVより)
「月の半分は海外出張、分刻みの過酷な日々が続いた。昭和49年11月10日、池田はカナダからの客を迎えに行き、ロビーで握手をしようとした瞬間、クモ膜下出血で倒れた。
 鵜飼(部下の名前)は「もうすぐ夢がかないます。目をさましてください」。4日後、息を引き取った。51歳だった。日本のコンピュータ産業を切り開いた男の壮絶な最期だった」

 淡々としたナレーションにすごく説得力がある。残された部下たちは池田さんの志をついでLSIを積んだコンピュータを発売し、NASA(アメリカ航空宇宙局)にも採用された。IBMの会長は日本の技術力を表して「ライバルの出現はアメリカからではなかった。それは日本のメーカーだった」と言ったという。

 なんだかドラマよりもすごい人生だ。握手をしようとした瞬間に倒れたというナレーションでちばてつやの漫画「明日のジョー」を思い出した。力石徹とたたかった後の言葉「白い灰になった」にものすごくインパクトがあった。白い灰になるぐらい打ち込めるものがあればよいと思った。いつのまにか、その言葉を忘れちゃったんだな。

 最後は、池田さんの講演テープが流れ、画面の右側にテロップが入った。
「人間は進歩をしていない限り本当の生きている実在感と幸福感はないはずなんです。
 絶えず進歩していく。自分を進歩させていくということに本当の生きている意義があるんじゃないかと私は思います」 

 技術者としての人間であるわけだが、これは人間全体に言っていると思いたい。
「挑戦者に無理という言葉はない」
「すべての開発は感動から始まる」


 クモ膜下出血は突然命を奪ってしまうことがある。もし池田さんが長生きしていたら、もし池田さんの病気がガンでもうしばらく猶予があれば、もっともっと素晴らしい業績をあげ続けてくれたのだろうか。こんな人が51歳で死ぬなんて世の中は不公平だとつくづく思った。


04/3/3(水)
歴史学者も肺がんで・・・

 日本経済新聞の「春秋」に歴史学者網野善彦さんのことが書かれていた。「宮崎駿監督の「もののけ姫」も、故隆慶一郎氏の時代小説も網野史学の傘の下に生まれた」という出だしは、著作を読んでいない私には何のことかよくわからなかった。

 でも、注意を止めたのは、【網野さんにお目にかかったのは20世紀最後の年の師走。肺がんの手術を受けられた後だった】というところと、【「20世紀半ばで人類の青年時代は終わった。うっかり無理をすると死病にとりつかれる危険が絶えずある」と自身の病に触れ話された】の部分。あー、この人も肺がんだったのか。それで、手術後3年ほど生きられたのねということ。
 その後、ゆっくり全体を読んでみたのだが、字数制限がある中にギューッと押し込んであるので、わかる人にはわかるが、わからない人には「???」なものになっている。きっともう少し字数があれば執筆者ももう少し内容をかみくだいて説明してくれたのだろう。
 この結びは【核や遺伝子操作など人類は自分の中に自身を滅ぼす要素をはらんだ。それが青年時代の終わりの意味だった。「21世紀は極めて危ない」と言われた声が耳の底に残っている。】となっている。BSE、鳥インフルエンザなど訳のわからない状況下で「21世紀は極めて危ない」という言葉を投げかけられると、言いしれぬ不安を覚える人もいるだろう。
 この「春秋」をわからないのは私だけかと思い、かなり読解力があると思われる何人かにも読んでもらったが、「意味不明」「だいたい青年時代がよいと思う発想がいけない」などと言われた。

日本経済新聞 3月3日付

04/2/24(火)
帯津先生の講演を聴く

 たまたま近くで開催されたので、統合医療の第一人者帯津良一先生の講演を聴いた。先生は先頃「養生は爆発だ」という本を出したが、これまで60冊近い本を出しているなかで、初めてタイトルが気に入った本でうれしかったとみんなを笑わせた。この本は、病院で実施している「名誉院長の講話」8か月分くらいをまとめたもの。(2月27日に購入し写真up)

 最近話題の「免疫療法」では、三大療法(手術、抗がん剤、放射線)を免疫力が落ちるからだめだと言っているが、臨床にいる立場としては戦術は多いほうがよい、あれはダメ、これはダメといって全部排除するのは疑問有りとしていた。

  患者でも医者がびっくりするような回復を見せることがあるが、どの治療法がよいのか、どれが効いたかはわからない。ガンと共存がうまくいっている人の共通項を見つけたいと常に考えているのだが、なかなか見つからず、どうも治療法の問題ではないのではないか、自然治癒力は体の外にあるのではないか、と考えるようになった。
 また、「場」が大事であり、場のエネルギーが高いかどうかということが問題とのこと。うまく説明できないが、各人がもっている「気」が集まるのが「場」なのかもしれない。よい医者、看護師さんが集まっている病院は場のポテンシャルが高いということになる。
 先生は「養生は爆発だ」の中で、「駒込病院にいるあいだに、わたしは西洋医学に限界を感じ始めました。医学の技術はどんどん進んでいるのに、がんで亡くなる人の数は少しも減っているように思えない。今度は制度上の問題ではなくて、西洋医学の構造そのものに限界を感じたというわけです」と書いている。

 今、駒込病院にいるお医者さんでも、西洋医学の限界を感じている人はいるだろうな。

 空気が乾燥しているのか、夜になると空咳が出る。そんなときはやはり心配になる。がんになると、10年先、20年先という展望で語れない。3年とか5年計画で物事を考えていかなければならないのが、なんだかなぁと思ってしまう。

ノートにメモしたときに、自然治癒力の「癒」が書けなかった。でも、先生も黒板に「自然治ゆ力」とそこだけ平仮名にしたのでなぜかホッとした。

04/2/23(月)
患者の目線で医療を見る

 日本経済新聞2月23日付の医療面に、外科医で「キャンサーフリートピア」の土屋繁裕氏が紹介されていた。
 この記事の中で、「患者の目線で医療を見る」という言葉が印象に残った。「そもそも、なぜ患者が粗末な丸いすで、医師が立派なひじ掛けいすなのか、という疑問がある」と書かれていて、そういえばそうだと気が付いた。でも、丸椅子だと「ハイ、後ろを向いて」などと背中に聴診器をあてられるときに便利だ。そのままグルッと回転して後ろを向けるし、あまり違和感はない。というより、病院の患者の席というのはそういうものと思っていた。先生がひじ掛けいすなのは病人の立場ではあまり気にならない。先生も長時間の診察で疲れるだろうし、駒込病院は先生の椅子が低いから、患者を見下ろしているという感じにはなっていない。
 といっても、待合室で長時間待たされるのは、「患者様」という取扱いではない。新聞の文中にある「患者は文字通り命をかけて医療という買い物をしているのに……。もしデパートやレストランのいすがそんなだったら、客は怒って帰るでしょう」という言葉は、待合室の待ち時間の長さについてはあてはまる。
 
 土屋さんは「医者にとって大事なのはしゃべり」と考え、患者や家族と納得のゆくまで議論するそうだ。ふと思ったけれど、がんの場合納得のゆく治療法はあるのだろうか。どこかで、しかたがないと妥協してしまっている。CTだって、がんをさらに悪くする可能性があるといわれれば受けたくないし、免疫療法等で抗がん剤は患者の生活の質を下げるといわれているのを聞くと何らかの副作用がある抗がん剤なんてどれも受けたくないというのが本音。できれば病院と遠ざかって生きていきたいが、どんなに空気のきれいなところで生活し免疫を高める食事をし、運動をしてストレスをなくしても、異なる細胞として生じたがん細胞は増殖を繰り返していくはず。だから、現在の医療でやれるだけのことをやるしかないと半ばあきらめて治療を受けている。抗がん剤治療は個々人で副作用も効果も違うだけに手探りをしているもどかしさを感じる。当たるも八卦の世界だ。「ぶっちゃけて言えば抗がん剤ってあまり効かない」と言った人がいたが、医療現場にいればそれが実感かもしれない。


04/2/21(土)
そんな馬鹿な、の医療事故

  医療事故のニュースが目に付く。
 今日の日本経済新聞だけでも、
1)「昭和大藤が丘病院手術ミス/すい臓の一部切除/執刀医、脂肪と間違える」
2)「「半」を「3」と聞き違い/薬6倍投与、死亡/静岡の病院」
3)「浴槽に47度の湯 入院患者やけど 横浜市大病院」
と3つも並んでいた。

 1)は切り取った脂肪の中にすい臓の一部が約5cm四方紛れ込んでいたという。すい臓は大きな臓器なのだろうなぁと感心するとともに、中高年の患者(私)だと脂肪たっぷりだから(今回の患者は29歳)全部切り取られたりして・・・と思ってしまった。病院側は手術中のトラブルではないと当初言い張っていたが、外部機関が調査したことによってわかったそうだ。企業や病院など大きな組織は、どうしても自らを正当化してしまう。病院側の説明で納得してしまったが、本当は医療ミスであったという例は多いと思う。学生時代の友人だった歯科医は「間違って隣の歯を抜いちゃったけど、いや〜、こっちの歯も悪かったから抜いときましたと言っちゃった」と冗談としか思えないことを言っていたが、案外本当だったのかもしれない。

 2)「半」と「3」は電話でのやりとりミスである。「半筒」というのを「3筒」と聞き違えた。マニュアル通り互いに復唱したが、思いこみに気付かなかったそうだ。「半分の半ですね」とか、「1、2、3の3ですね」という復唱だったら、間違えなかっただろう。
 
 3)は看護師が入浴前の湯加減確認を怠った例。
 記事を読むと、そんな馬鹿なと思うことばかり。マニュアルがあるからだいじょうぶとばかりに、工場のベルトコンベアーに乗った1日の流れになっていないか。

 「お名前は」と聞かれても「(患者が返事をして目の前にいるのだから)間違えているはずはない」といった様子。間違えて答えたら気付くかなぁといつも思ってしまう。風呂でお湯の温度を確認するなんて、自分の家ならばたとえ温度調節がついていてもするだろう。無意識のうちに患者を「人」でなく、「モノ」的に見ているのだろう。
 他病院で起きた事故を、「うちの病院でそんなことはあるはずがない」と思うのでなく、「うちはどのような体制にしているか」を再チェックしてほしい。


04/2/20(金)
研究を急いで、急いで

 日本経済新聞2月13日と20日付で、「がんを狙い撃て」の2回連載があった。要はこういうこと。
・がんの組織だけを狙い撃ち、副作用を最小限に抑える新たな治療法が実用段階にきている。日本政府も「第3次対がん10か年総合戦略」で支援。
・軽い負担でがん病変の増殖を抑える方が、患者のQOLを損なわず、延命効果も期待できると考えられるようになった。
・肺がん治療薬「イレッサ」のように細胞内の特定の物質に働きかける新薬には未知のリスクもある。
・がん細胞に特有の物質をワクチンとして使い、がんを攻撃する新手法の実用化が近い。
・バイオベンチャー企業のグリーンペプタイド(福岡県久留米市)は「ペプチドワクチン」と呼ぶ最先端のがん免疫療法を研究している。
・ペプチドワクチンは、がん細胞の目印となる分子(ペプチド)を特定して投与すると、免疫細胞(リンパ球)がその目印を目標にがん細胞を攻撃するというもの。

 すご〜く期待して読んだのだが、記事を読んで「これで救われた」という気持ちにはならなかった。
 【特に一部の再発前立腺がんでは、12種類のペプチドををうまく使い分けることで、患者の平均生存期間を従来の2〜3倍以上の2年以上に延ばせる】と書いてあったが、これに対して不平を漏らしたら、2年も延びればいいじゃないかと言われそうだ。
 
 この記事には書かれていなかったが、検索をかけたところ、「グリーンペプタイドは2004年秋、医薬品申請に向けて後期第2相治験開始。2006年末に申請予定。2009年度にも国内初のがんワクチンか」といった情報を得られた。グリーンペプタイドは、久留米大学の伊藤恭悟教授らが2003年5月8日に設立した企業で、久留米大学の研究成果を基に肝癌治療薬等の原料となるペプチドを委託合成する。福岡では「福岡バイオバレープロジェクト」が進行中なのだそうで、なんとも頼もしい限り。 
 心の中で、急いで、急いでと願っていた。


04/2/17(火)
腫瘍マーカー再上昇

  8時45分に病院に着いたら、採血番号は29番。今日は新顔の技師さんだったからうまく刺してもらえるかと期待したけれど、結局、誰がやっても同じだった。「いつもはどこでやりますか」「他の人はここ(腕の中央)でとれますか」とか聞かれると正直に答えざるをえない。

 「うーん、(腕の中央で採血できる)成功率20%ぐらいかな」と言うと、隣の技師さん(顔見知り)がくすくす笑っていた。またしても手首から採血することになったけれど、針を入れてから血管を探る感じなのでヒヤヒヤ。「この付近は神経が通っているので、うまく入らないとしびれたりするんですよ」と言われ、びっくり。採血はいつもすったもんだするから、いい気分はしない。

 続いてレントゲンへ。診察予約時間は10時だが、15分くらいの待ち時間ですんだ。
 先生への質問事項は、手術後1年半もたつのに、寒いときには傷が痛む感じがすること。咳はいつごろまで出るのかということ。だが、これらはそれほど心配することはなさそうだった。

 「上がっちゃいました」と先生。

 腫瘍マーカーが17.5に上がってしまった。でも、なんとなく今日あたりは上がるかもしれないと言って家を出たから、やっぱりなぁという感じだった。腫瘍マーカーとガンの状況が連動しない人もいるが、私の場合は「マーカーの動きと合っているので、目安としては使える」と先生は考えている。したがって、上がってきたからには再び治療を始めたほうがよいと説明してくれた。

 腫瘍マーカーをプリントアウトしてくれた表を見て「成績だったら、上がったらうれしいのに」と言うと、先生、笑っていた。

 リンパ節のところを見るためにCTスキャンをしたいとのことだったが、「CTをとりすぎるとかえってガンによくないという話も出てますよね」と言うと、「ああ、朝日新聞に出ていましたね」とうなずいて、「どうしますか。治療を始めてしばらくしてから検査してもよいですよ」と、こちらに判断をゆだねてきた。うーん、そのように言われると、「やっぱり検査受けます」と言うしかないよな〜。

 前回使用したパラプラチンは腎臓に負担をかけるので3〜4クールしかできないということで、抗ガン剤の候補として下記のものをあげてくれた。
1)ジェムザール(長く使える)
2)タキソテール(必ず脱毛する)
3)イレッサ
4)ナベルビン(脱毛あり)

 入院するとますます悪くなるような気がして鬱になるから外来でやりたい(多少オーバーな表現だった、と後から反省)、これから暖かな季節になるので脱毛するのはいやと言ってジェムザールを選んだ。3週続けて1回休むというパターンでいくそうだ。それにしても、10分ほどの外来診察だけで、患者が薬を決定するのはどんなものかなぁ。もっと薬の選択肢があればいいのに。

 腫瘍マーカーが上がるのは予想できたことだが、Aロッドがヤンキースに移籍したのはショックだった。悪の帝国(ガン)が、金のない弱小チーム(つまり善良なガン患者)をとことん叩きつぶすというイメージで、気分がドン暗くなった。ヤンキースは、1年間試合をしないで、勝ち上がってきたチームと地区シリーズだけ戦えばいいのに。とはいえ、ヤンキースの試合は打者がブンブン振り回して大味なつまらないものが多いから、今年も見ないつもり。


04/2/7(土)
がん休眠療法

 「がん休眠療法」(講談社プラスアルファ新書、2001年9月刊、800円)という本は気に入っていて何かにつけて読むのだが、この日もお風呂の中で読んだ。お風呂の中だとリラックスして読めるし、これをしたからがんが治るといった類の本ではないが、読むと納得し、なぜか元気になれるのだ。再発し治療をしても大きさが縮小しないからといって、それ以上大きくならなければいいやと思えるようになった。
 検索したところ、著者高橋豊先生のサイトが見つかった。「よりやさしい治療で、より長く生きる」という副題がいいな。がん休眠療法を知るには役立つと思う。


04/2/6(金)
がん剣士死去

 新聞の死亡欄に手塚しげおさんがのっていた。肺がんで62才で死去。この人は昔昔、矢車剣之助役を演じた役者さんで、その後、長沢純さんや高橋元太郎さんと一緒にスリーファンキーズで歌っていた。このごろはあまり名前をきかなくなったけど、ホテル結婚式プロデューサーやクラブのマスターなどをしていたらしい。だとするとタバコも吸っていたのかなぁ。肺がんという言葉を見るとやはり反応してしまう。


04/1/23(金)
CT写真変わりなし

 CT写真の結果は、放射線科の先生に見てもらったところ、大きさは変わりないとのこと。腫瘍マーカーは徐々に下がっているので、しばらくは治療せずに様子を見ることになった。
 写真がたくさん並んでいるからよくわからない。デジカメを手に待ちかまえていると、前回と今回のものについて、一番よくわかる写真を指し示してくれる。自動にしていたからフラッシュがたかれてしまった。そこでフラッシュを切ってもう1枚撮影したところ、「斜めからとるとフラッシュたかれますよね。僕も学会用に撮影することがあるけど、なかなかうまく撮れません」と話してくれた。

 20日の2つのミス事件をK先生に話したところ、血液検査の入力ミスについては「(先生が)パソコンに不慣れというのでなく、忙しくて入力し忘れるのでしょうね」と言っていた。K先生の場合は、診察しながら毎回打ち込みをしている。その場ですますからこれが一番間違いがない。メールをもらって、後で返事をしようと思うと、コロッと忘れるのと同じことだろう。
 CT検査前日にカルテを用意しておかなかったのは、「それは単純に事務方のほうですねー」と苦笑していた。


04/1/20(火)
3つのミス

 8時半ちょっと過ぎに病院に到着。血液検査の順番は20番。CT予約が9時10分だから間に合うだろうかと心配しつつ順番を待つ。 約20分間待ったが、その間に先生が血液検査の入力をしていない患者さんが2人いた。患者自身は検査予約の紙をもらっていても、先生が入力していないと、検査予約終了とはなっていないわけだ。したがって、確認する手間が必要なので、その患者さんはせっかく早く来ていても検査は遅くなる。
 この間も、「ねぇ、X先生って少し変だよね」という話をしていたから、何事かと思ったら、検査入力をこのところ2回もしていなかったということだった。自分でやらないで看護師にやらせているのだろうか、困ったねーと話していたが、病院内の風通しをよくして、そういう先生には「それでは困ります。何より患者さんが気の毒です」ときちんと注意すべきだと思う。

 9:00に血液検査を終えて、1階のCT検査へ。途中廊下のポスターに「がん〜の講演会」という文字を見つけて近づいたら、11月の分だった。つまり過ぎた行事だということ。終わったもの は外せよ〜、企業やお店だとこういう小さなところからほころびが出始めるのに。要するに、目配りが行き届いていないか、こうしたことを担当する責任体制がうまく図れていないということになる。理由は たぶんこうだ。「忙しくて気が付かなかった」

 CTはほぼ時間通りなので、患者としては助かる。でも、CT台に寝てから待たされた。前日に届くはずのカルテが届いていないので、取りにいっているとのこと。うーん、これも誰かさんの不注意ミスということになる。寝ている間にCT室の照明器具を ふと見たら、周囲に汚れがこびりついていた。病院は暮れの間も運営しているから、年末の大掃除などはしなかったのかもしれない。私も「忙しかったから」何も掃除できなかった。自分に甘く、人に厳しいかもしれないが、こうした公のところで掃除が行き届いていないのはどんなものかなぁと漠然と考えていた。 この病院が好きなだけにね。
 さて診察。腫瘍マーカーが11.7に下がったこと。CTの結果は翌日の夕方に出るので、23日に結果を話すという説明を受けた。
 
 ●お見舞い
 Mさんの見舞いに病室へあがった。イレッサの治療に2回挑戦したのに、合わなかったので、現在は抗がん剤治療をしているそうだ。やはりがん患者の人が見舞いに来ていて、Mさんとベッドが隣のSさんと新年会の打ち合わせをしていた。病院を抜け出して(もちろん外出許可をとって)しゃぶしゃぶを食べに行くそうだ。気分が元気なのは何より。
  「あなたはいいわね、元気で」と言われると、素直に喜べない。がん患者同士で病気の程度を比較してうらやましがっていてもしかたがないもの。現に、見舞いに来ていた人も見た目はどこが悪いのかわからないほど元気そうなのに、消化器、肺関係とがんになったらしく、抗がん剤治療で通っていた。ものすごくよく勉強している人で病気のことにも詳しかった。インターネットやNHKが深夜に流す病気関係の番組をよく見ているとのこと。
 しかし、「会社勤めだといづらくなってやめた」ようなことを言っていた。外来治療ができるといっても、1週間に半日から1日は休むことになるので、会社にとってもあてにできないということだろうか。


04/1/16(金)
免疫力を高める4か条

 新年が明けたら、あっという間に16日になっていた。年末年始にかけては仕事だけ。大掃除はできなかったが、昨年書けなかった年賀状だけは書けたから、まぁ、昨年よりはましだったのかもしれない。
 ネットを見ていたら、毎日健康ひろばニュースの1月5日(月)で、「免疫療法でがん再発・転移を防止、リンパ球を活性化 東淀川区の医誠会病院」という記事があった。
 
 免疫療法は、自分のリンパ球を取り出しがん細胞を混ぜて培養、活性化させたものを再び投与するやり方だ。そうすると、そのがん細胞だけを攻撃するキラー細胞が生まれ、がんの除去手術後に残っているがん細胞に対して効果が高いという。この病院では10人中3人に効果があったそうだが、3人しかとガッカリするか、3人もと喜ばしく思うかは微妙なところだ。野球でいえば3割打者はまぁまぁだが、助かった人にとっては10割ということになる。
 リンパ球を活性化させるという免疫療法は、近くの病院でも行われていて、興味をもったときにざっと計算したら200万円必要とわかった。それとて治る保証があるわけではなく、むしろ他の治療と併用すればより効果があるようなことが書いてあった。うーん、それで多額のお金を払うのは患者にしてもつらいものがある。

 新潟大学大学院で免疫学を研究している安保徹先生の「免疫革命」(講談社)は、昨年書店で平積みしてあるのを買い求めた。正月も読み返してみて、この先生が提唱している4か条はなんとかやれそうだと思った。

 第一条 生活パターンを見直す
 第二条 がんの恐怖から逃れる 
 第三条 消耗する治療は受けない、続けない 
 第四条 副交感神経を優位にして免疫力を高める 

 「生活パターン」を見直すというのは、食事も気を付けているし、夜更かしをしなくなった、仕事の無理をしなくなったという点でだいぶ改善されている。
 「がんの恐怖から逃れる」というのは、毎日が仕事で忙しいせいもあるかもしれないが、今はあまり感じていない。でも、入院していたとき、末期がんのOさんが廊下でじっと朝日を見ていた姿が焼き付いている。みんながよくなるようにとお祈りしていたと言っていたが、あのとき、何を思っていたのだろう。
 「消耗する治療は受けない、続けない」。これは手術、抗がん剤、放射線治療のことを言っているのだが、すんでしまったことはよしとすることにした。だが、これからも担当医のK先生から「これをしましょう」と言われたら、「はーい」と答えるだろう。ここに住み、たまたま駒込病院に行ってしまったのだから、しかたがない。
 「免疫力を高める」。安保先生によれば、肺の病気はむしろ治しやすいそうだ。この言葉に元気づけられ、朝、空気のよいときに深呼吸することを続けている。これはかなり気持ちがよい。

 2004年も元気に過ごせますように。