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  10月17日(月)
miyaさんの昔話<3> 

 東京は朝から雨。このごろ更新をこまめにするようになって気付くのは、手術から3年たち、外来で抗がん剤治療を受ける患者だと、毎日病気のことを考えるわけではないこと。現在厳しい状況にある患者さん、その家族の方々 の心中を思うと気が引けるが、さりとて祈ることしかできない。まだ元気な患者が順繰りに元気光線を発していくことが大切だと思うので、今のところはなるべく楽しいテーマを見つけて書くことにしている(明日は病院、いやだな)。
 週の初めは楽しく。よい週になりますように。

 ■日々の記録が大事
 タキソテールの治療を開始して毎日食事の記録をとりはじめあっという間に4クールが経過してしまった。ドクター中松は35年間にわたり自分の食事の記録及び写真撮影をしたそうだが、その結果、 「食事の効果は3日後に現れる」「1日1食の食事で十分」と悟ったということがある週刊誌に出ていた。

 昔、味の素のクノールCMで現在の食事が10年後(5年後だったかも)の健康につながるのですといった意味のことを言っていて、キョンキョンの起用もよかったし、そうなのだと納得できた。あのCMを企業メッセージとしてずっと続けてほしかった。

 私の食事はまだ記録をつけだして3ヵ月少々だから、何かを悟るという域には達していないが、ドクター中松が食事は1日1回でいいといったのは、3度の食事を記録するのは面倒になったからではないかとひそかに思っている。食事の記録は 食後すぐか、あるいは遅くなってもその日のうちに記すのがよく、昨日の食事でさえ思い出せないことがある (今日昼の食事では現物を見ても、イカかタコか分からなかった)。食事記録とともに身体の様子、副作用の出方なども書いておくと、後で比較しやすい。がん患者の方にはオススメである。

 ■miyaさんの昔話<3>ガーッといこう
 会員に健康食品を販売し、親会員から子会員へとさらに権利を販売していくという会社から、リアルタイムに会員の支払い管理をしたいのでデータベース作成の打ち合わせにきてくれないかといわれた。
 miyaさん「親と子の判定ってどうすればいいんですか」
 先方の社長「あ、それはガーッと集めて、一気に処理するんですよ」
 miyaさん「ガーッというのはどういう条件ですか」
「だから、いっぺんにガッとやります」
 miyaさん「ガーッと処理したものは必ず親のポジションにいるんですか」
 「いや、そうとばかりは限らなくて、状況によっては子も親の立場になることがあるんだよ、そうしたときは一気にガーッとまとめて処理したいんだ」
 miyaさん「その時々の判定はどうするんですか」
 「だから、それはいっぺんにガーッとやって、、結果を一気にガーッと吐き出すんだよ」
 以降、すべての処理はガーッとすることが判明した。
 ここでmiyaさんはあきらめ、「コーヒーごちそうさま、さようなら」の心境になり、丁重にお断りした。
 
 しばらくの間、仲間内ではガーッが流行った、
 「だから、ガーッとやっつけちゃいましょう」
 「そこんとこ、ガーッとよろしく」
 「じゃ、ガーッと明日までに」
といった具合である。
 私はガーッと一気に仕事ができる能力がないので、“ガーッの輪”に入れなかったのが残念だ。

【追記】 あら、午後1時前にテレビをちょいと見たら、ホワイトソックスがリーグ優勝しちゃった。エンゼルスがさよなら負けをしたときに、今年はだめかと思ったけれど、エンゼルスは一昨年ワールドシリーズに優勝したから、まずはメデタシ、メデタシ。エンゼルスが優勝しても私のがんは治らないから、これでいいのだ。カーディナルスとの対決になればいいのになぁ。井口さんも田口さんも応援しよう。でも、ホワイトソックスが優勝すると、マリナーズでふてくされ ていたガルシアが喜ぶことになって複雑な心境。マリナーズを出た多くの人はみな活躍しているから、悔しい。イチローはいくら記録を作っても弱いチームにいると、宝がずっと埋もれているような感じがする。 
  

 午後2時頃、雨降りにもかかわらず、牛猫君が 顔を出す。窓枠にエサを置いておいたら、下に降りてきてくれた(2回目)。かわいいけれど、太めになったなぁ。図体など小錦級だ。しばし雨宿りをしながらキョロキョロ室内を見回し 、“見返り猫”をしていたが、意を決したように出ていった。

 


  10月16日(日)
毛、毛、毛がない。

 昨日、眉毛も睫毛も抜けたと書いたが、ハタと気づいて、手と足に生えている毛をチェックしたら、アララ、毛穴が見えるから生えているものと思いこんでいたら、こちらもかなり間引かれている。先輩のがん患者さんから「全部抜けちゃうわよ」と教わった時、「下の毛はどうでもいいです、ハハハ」と笑ったけれど、いざ、残り少なくなってしまうと、「ちょっとぉ〜、いつの間に抜けたのよ」と文句を言いたくなる。髪の毛はある日突然抜け出したが、他のものは気づかないうちにジンワリと抜けていた。これも結構こわい。

 10年位前、バス停で話しかけられたおじさんの顔が赤塚不二夫のバカボンのパパそっくりで、すごく違和感があったことを覚えている。後でよくよく考えたら、そのおじさんの鼻の下に、剛毛ともいえる白髪交じりの鼻毛が3mm位に切りそろえられたままでニョッコリ伸びていたから、おかしかったのだ。そのときのインパクトが強かったから、miyaさんの鼻毛がチョロッとでも出ていると、「ムカピョン2本だよ」といって我々だけに分かる暗号で警告している。

 空気の汚い大都会を生き抜くうえでは鼻毛も大切な役割を果たしているのに、いまや鼻毛が1本もない。唯一自慢だった“美しく健康的だった爪”にも変な横筋が2本入ってしまった。
 うーむ。この程度の副作用ならば人間って我慢ができるものなのだと感心してしまった。

 でも、万が一、抗がん剤の副作用で「歯も全部抜けます」といわれたらどうだろう。髪の毛は「だいじょうぶです。また生えてきます」と言われて納得したが、歯がボロボロ抜け落ちるようだったら、60代までの人は抗がん剤を選ばないだろう。生えてくるならばいいが、薬をやめても元に戻らないようだったら、それは副作用というよりも毒薬だよね。

 その意味では歯がけなげに頑張ってくれているのは本当に助かる。なぜ歯のことを考えたかというと、昨日、眉毛がないと“平安時代のやんごとなき麗人”のようだと書いたが、その時代の高貴な人はお歯黒だったのではないかと思い至ったからだ。
 
 ■地震だ!かつらだ!
 今日は早朝外出して昼過ぎに戻り、昼寝をしていたら、午後4時5分頃にゆらゆらと揺れた。こういう時、真っ先に考えるのは「かつらをかぶって避難しなきゃ」ということ。火の元消してなんて注意はどうでもいい。まずかつらだ。

 miyaさんは「地震は最初がドーンと大きいのだから、ゆらゆら揺れる地震はたいしたことはない」と落ち着いている。「ここであわててこけるとタンコブができてかつらをかぶれなくなっちゃうよ。あげくに負傷者1名になったらどうするの」といわれた。
 
 この間の地震でマンションのエレベータが数時間止まった時には外に出ていたから、息切れしながら階段を上った。このため、近くに完成した新築の公団は1階を申し込んだのだが、昨日「落選」通知が届いていた。20歳以降4回引っ越しをし、そのたびに上層階へと上がってきたが、病気してみるとだんだん天国へ向かっているようで、ここらで一つ下界へ降りてみようと思い立ったのに外れてしまった。ここでイソップの童話「酸っぱいブドウ」のようにサッと発想を切り換えるのが私の調子の良いところ。下を目指すと1階の後は地下(土の中)になるから、まぁ、これでよかったのかもしれないと思い直したのである。

 もうすぐ引っ越しするのだから(当選すれば11月中旬予定)と部屋の掃除もしていなかったが、もうしばらくこの部屋にご厄介になることが決定したので、まじめに掃除をすることにした。


  10月15日(土)
巣鴨よいとこ、一度はおいで

 昨日は、かつらがずれることもなく、無事に戻ってきた。雨が降る予想だったが、ずっと晴れたままだった。夜のNHKニュースでは「なぜ晴れたのか=なぜ天気予報が大コケしたか」を解説していたが、この日のハズレはまことに喜ばしいことだった。
 私は他人の傘が帽子にひっかかって、スポッとかつらが抜けたらどうしようと、大まじめに心配していたからである。

 東北からきた人たち約15人を3か所ほど視察の案内し、最後はとげ抜き地蔵通り商店街(←ここは物見遊山)を見たあとお見送りした。午後2時から会議があるという人に話をしてもらうようにアレンジし、1時に到着予定を組んだのに、最初が30分遅れたものだから、全部時間がずれまくり。

 「んもう〜、東北の人は時間の観念がルーズだ、キ〜〜ッ」と、1県だけの失態が東北全体の評価につながってしまった。よく「○○県の人はつきあいづらい」「○○県はいい人が多いよ〜」というのも、案外その県のたった1人だけの評価だったりする。その意味で、私は東京都代表である。きっと昨日のことで「東京の人は親切だな〜」という評価が決定づけられただろう。

 巣鴨では写真のお守りを買った。たった500円で金運回復祈願、交通安全、心の健康まで守ってくれる。カエルが各方面で活躍していてうれしい。視察した人たちにマルジのカエル付き赤パンツ(←マルジにリンク、メチャ笑える)が喜ばれると推奨したのだが、お土産に買ってくれただろうか。

 以前、父にカエルの絵入りパンツを贈ったら、とても喜ばれた。昨年、miyaさんは女性用“マシュマロ若ガエル赤パンツ”の刺繍が気に入り、「この柄のついた男性用LLサイズはないの?」ときいたところ、「うちは高齢者が多いから、そんなでかいサイズはないよ」といわれていた。現在はLLサイズもあるが、ほしかった柄のものはまだ作られていない。

  私はさすがに赤パンツをは く気にならない。救急で病院に運ばれたときに、「あら、この人、赤パンツですよ、ギャハハ」と笑われるシーンを想像してしまうからである。60歳になったらはこうかな。
 
 ■睫毛がない

 ところで、いまは他人と話していると、睫毛にばかり目がいく。
 私は若気のいたりで、入れ墨メイクを眉と目に入れておいて本当によかった。いまは抗がん剤の副作用で眉毛(全滅)、睫毛(数本生き残り)がともに抜けているから、のぺっとした顔になっている。それを入れ墨メイクが救ってくれているのだ。
 
 眉毛が抜けた後にほのかに入れ墨メイクのラインが残っているので、「平安朝のやんごとなき麗人」みたいと思うのだが、miyaさんは「暴走族のにいちゃんみたいで怖い。眉毛がないだけなのに不思議だね」という。確かにそう見えなくもないが失礼な……。仕方なく、このごろは眉毛ライナーを用いるのだが、線がギザギザになる。そこで、かつらの前髪で隠すようにしている。前髪だけでなく、かつらの耳の部分、後ろの部分が気になって時々グィッと引っ張るのが癖になっているから、それを見た人は 奇妙に思うかもしれない。
 
 そういえば、巣鴨の通りですれ違った女子高校生たちが「今度は回転しないすし屋に行こうよ」と言っていたのでビックリ。この子たちにとっては回転ずしが 「ふつうのすし屋」であり、回転しないすし屋が「特殊なすし屋」なのだろう。

 巣鴨の地蔵通り商店街は4の付く日の縁日で、とても賑わっていた。「私は40年来、ここに来ているけれど、縁日の日はたいてい雨が降るのよ。今日は珍しいわ」とお年寄りの女性が教えてくれたので、以前の私は「雨女」だったが、どうやら「晴れ女」になったらしいとニンマリ。
 街歩きはとてもおもしろかった。


  10月14日(金)
手順を守ることが大切

 私のウィッグは、下にネットをかぶり、その上にかぶるのだが、昨夜は面倒なので、そのままウィッグをかぶり、ネットはポイとバッグに入れた。ところがコンビニに寄って本を受け取ったときに財布を出し、帰ってみると見当たらなかった。miyaさんがすぐに探しに行ってくれたがなかった。今朝も昨夜通った道を辿り、仕事場も探したがやはりない。ショック、ほんのちょっとの間だからとはしょったばかりに。

 このネットはスーパーや化粧品店にないので、ウィッグを購入した店から予備を買おうと思っていてついつい注文し忘れていた。

 「かつらはネットとの摩擦で止まっているんだから、ホイッと横向いたときにずれちゃうかもよ」とmiyaさんは脅す。
 今日は出かけるのに、こういうときに限ってドジをする。しかも繁華街で不測の事態が生じたらどうしよう。
 「何事も手順通りにすることが大事。そのためにマニュアルがあるんだよ。代わりがないんだから、注意しなくちゃ」といわれ、は〜い。は〜い。かくて、yururiさんはゆるゆる(頭)おでかけ……。


  10月13日(木)
お昆布様、
お猫様

 このごろ言葉の問題を書いているので、ちゅうさんがメールをくださった。
 <先日の朝日新聞で 幼稚園児を持つ20代の母親が丁寧語を「おたくのお子さんおでかくなられたのね。」といったとか。
 大きいの丁寧語が出てこないんでしょうけど
 ひぇ〜ってかんじぃ〜(笑)>

 それを読み、……。もうおもしろすぎ。

 
 ■お昆布様
 今日の昼は20年来の友人Vanさんがもってきてくれた京都の名物のさばずしを食べたが、その説明書を見て私もひぇ〜だった。
 「お昆布を取ってお召し上り下さい」だって。
 京都はなんでも丁寧に言うのかもしれないが、真ん中だけ丁寧語でないので、おかしな感じがする。 
 私は“お昆布様”を丁重に取り除き、ありがたくいただいた。お昆布様は食べてもらえないことをいたくご不満のご様子だった。
miyaさんは食べ終わってからこの注意書きを見つけ、「昆布に書いときゃいいのに」とぼやきつつ、「昆布捨てるなんて許せん。うまかった〜」と絶賛していた。さばに昆布の味がしみたのか、昆布にさばの味がしみたのかは分からないが、とてもおいしかったそうだ。私も満足した。

 ■中村勘三郎さんのCM
 歌舞伎俳優の中村勘三郎さんが「BSデジタル1000万突破キャンペーン」のメーンパーソナリティに決定し、CMで動物と共演するそうだ。
 この人は「ほっとけないキャンペーン」にも出ているけれど、あのCMは我々2人とも、CMが作られた背景も含めて好きではない。がん患者もたくさん応援しているから理由は書かないけれど、あの指パチンを見ると○○みたいと思う。

 中でも高級素材の服を着た勘三郎さんには全く不似合いなCMだ。すべて演出だろうけど、一人だけ指パチンを鳴らさないというのも、少々いやみな感じ。啓蒙するのは結構だが、それで何かをしたような気になったらいやだな。ところで、ほっとけないパキスタンの地震に対して、ほっとけない関係者はどれぐらいの 義援金、支援金、人手を出したのだろう。

 私は例のバンドを買う気はないし、世界のまずしい人よりも日本のまずしい人の方が大事だと思うから、赤い羽根も、交通遺児育英基金も、ホームレスの募金も、大震災 義援金も、盲導犬募金もお金を出してきたし、ホームレスの人が販売しているビッグイシューも見かければ買っている。意思表示するためだけのメッセージで、寄付金はゼロの活動なんて応援する気はない。出演した俳優はギャラをもらっていないといっても、たぶん広告会社、製作会社には莫大な金が落ち、彼らにとって“おいしい仕事”を作り出しているのである。そういう活動はほっといて、ほんの少しでもきちんと“寄付”といえるお金を支払いたいと思っている。

 ところで、私は300円が惜しいから言っているのではない。まずしい人よりも近くの飢えた猫にエサをやっていて、そのエサ代も○○にならない。事務所の窓から手を伸ばしたところに猫がやってくるので、エサをやっていたら使用前、使用後になってしまった。「うちの猫」と呼んで、あたたかなまなざしで見つめているのに、なかなか慣れてくれない。でも、 ホッとする。

04年8月9日(やせ)

04年11月26日(でぶ)

05年9月1日(かわいい)


  10月12日(水)
miyaさんの
昔の話<2>
電線が仕入

 今日もmiyaさんのお笑いネタです。入院している方が「笑った」とメールをくださったので、調子に乗って第2夜。
 この猫は長崎空港で買ったものです。作り手のお名前を書いた紙を紛失してしまったのですが、80歳以上の方が作ったそうで、ほのぼのしながらもとぼけた表情が気に入りました。 

 
 

 ■紙と電線
 miyaさんのような職種の場合、企業とのつきあいが多いので、個人であっても会社にしておく方が何かと有利だ。6年前、区の融資制度で創業資金があると聞いて、新規に“超零細企業”を設立しようと思い立ち、区が設けている創業資金に関するコンサルティングにいさんででかけて行った。

 相手は、miyaさんより年下らしき中年の中小企業診断士。襟の端とポケットに縫いジワがよった(←仕立てが悪いことをmiyaさんはこう表現した)紺の背広を着て、メガネをかけ、剛毛にポマードをぬった人がふんぞりかえって偉そうにたずねた。

 「あんたんとこの業種はなんだあ〜ん?」
 miyaさん「うちはコンピュータのソフトを受託開発しています。法人化しないと支払いを受けるときに、不便なので法人化したいと思っているんです」
 「そうすると、あれだな、情報業というやつだな。だとすると仕入れは紙がメインだな」
 miyaさん「紙とかドキュメント関係の制作プロダクションではなくて、コンピュータのソフトウェアを作ったりしているんですが」
 「作るっていったら紙が要るだろ、ん〜?」
 miyaさん「そうじゃなくて、ソフトウェアなんですけど」
 「じゃあ、箱とか紙が要るだろう」
 miyaさん「いえ、パッケージは作ってないんです」
 「だって、ソフトだろ。ソフトは紙だろ」
 miyaさん「そうじゃなくて、コンピュータで動くプログラムやネットワークの仕事なんです」
 「電線使うだろ、電線が仕入れだよ」
 miyaさん「電気工事の業種じゃないんですけど」
 「じゃ、何も使わないんだったら創業資金なんて要らないじゃないか」
 miyaさん「……(唖然、呆然、だめだ、こりゃ)」

 ここで、miyaさんはスミマセン、さようならと帰ってきた。こんなにもよく会話を覚えているのは、情けなさと腹立ち紛れで印象深かったからだそうだ。区役所の公的な場所を使って行われたコンサルティングだったが、情報関連への理解などそんなものだった。書類を見たら、情報処理業は創業資金の該当する業種に入っていた。 

 ■インターネットにコンピュータがついてくる!?
 ADSLのサービスが始まったころは、忙しいさなかに「インターネットをお使いでしょうか」といった売り込み電話がよくかかってきた。うちは、とっくの昔に固定IPで契約していたので全く必要がない。
 miyaさん「インターネットって何ですかぁ?」
 「インターネットは素晴らしいものなのですよ。なんたらかんたら(←やれ時代に乗り遅れるといった内容で長々と説明)」
 「はー、うちはリヤカーをひいて私一人で行商をしているので、コンピュータとかは使わないね〜。ADSLとか申し込むとそういうの、くれるの? え、くれないの。だって、インターネットが使えるって言ったじゃない」
(ガチャッ)
「切っちゃったよ、失礼なやつだね(笑)」
 別のところからもいろいろきたが全部その手で撃退した。
 ここだけには勧誘電話をかけるなと教えてあげたいほどだった。


  10月11日(火)
miyaさんの
昔の話<1>

 相棒のmiyaさんは今、フリーのプログラマーだが、前職を含めて抱腹絶倒のエピソードが多い。
 一見まじめそうに見えるが、愉快なことを本当におもしろおかしく話す。記憶力がいいから、リアルに再現できるのだ。私が文字にしてもおもしろさは半減するけれど、時々miyaさんのおもしろ話を書くことにした。
 ところで、miyaさんってどんな人。第一に、勧誘を断るのが上手だ。これなら高齢者になっても訪問販売にだまされるということはないだろう。

 【事例1】 自宅にピンポ〜ンと誰かきた。こういうときにはmiyaさんに出てもらう。
 「はい、どちらさま?」
 「○△新聞の者ですが」(←新聞の勧誘)
 「はぁ?○△新聞? 取材ですか。あ、それでしたら事務所を通してもらわないと困るんですけど。事務所をちゃんと通してくださいね」
(相手、あきらめて切る)

 【事例2】 お金を貸すという金融関係の電話。
 「いつでもご融資いたしますよ」
 「わ〜っ、助かりました(うれしそうな声で)。金策に走り回ってたんですよ。どこも貸してくれなくて、もうお金がなくて、首くくらなきゃと思ってたんですぅ。で、いくら貸していただけるんです。1億円?もっと?」
(ガシャッと相手が電話を切る音)

 こちらは笑いをこらえるのに必死だが、相手は仕事をしているわけだから、同情したくなる。ところが、miyaさんの仕事も無理難題を言われ、苦労することも多いようだ。
 
 ■思い出話<1> 夏の海岸には電線がない
 某巨大電話会社が民営化される前、間にいくつか入ってソフトの制作を頼まれた。やっと完成したが、「プログラムオープニングの画面がさびしいので、春夏秋冬の季節がわかるものを何でもいいから出してくれ、デザインは任せるよ」といわれたそうな。
 そこで、miyaさんたちは<春は桜、夏は海、秋は稲穂、冬は雪景色>のデザインをしてもっていった。
 ところが担当者は、デザインを見るなりあっさりと言った。
 担当者「雪が降っているときはうちは工事しないから、雪はだめだよ。秋の稲穂は農繁期のイメージだよね。農繁期は職人が集まらないから工事しないんだ。春の桜は国花だからまぁよしとして、夏の海岸には電話線ないんだ」
 miyaさん「じゃあ、四季のイメージを色で表現しましょう」

 そこで、春は桜色、夏は太陽の赤、秋は黄色、冬は白の色をあしらって再びもっていった。すると     「赤は血の色を連想させるからだめ。うちは工事するから安全上、血の色はまずいんだよ」
 miyaさん「では、どうしましょうか?」
 担当者「うーん、初期画面はいいや、やめよう」
 ここでムカツクmiyaさん。(だから、初期画面なんて要らないってうちらは提案したじゃん、最初から言えよ)と思ったそうだ。何でもいいよ、任せると言いながら、できたものにあれこれ注文をつける人は多い。

 ともかく納品するために、再びmiyaさんは新幹線に乗って遠くまでわざわざ出かけていった。
 担当者「このコンピュータにインストールしてよ」
 miyaさん「これ起動時にエラー出てますよ、変ですね」
 担当者「いいからインストールしてよ」
 miyaさん「エラー出たらインストールできないですよ。ちょっと直しておきますね」
 
 直してインストールをしてOKが出た。さぁ、帰ろうかというときに、声をかけられた。
 担当者「あ、そのマシン、ちゃんとエラー出るように戻しておいて」
 miyaさん「だって、もう直しちゃいましたよ」
 担当者「そのマシンは私の担当じゃないから変なことをするとまずいんだよ。エラーが出ないと検収できないよ、はんこ押さないよ」
 それから1時間ほどかけてエラーが出るように直した。
 miyaさん「エラーが出るからソフト起動しないですよ」
 担当者「いいんだよ」
 
 嘘のような本当の話。なんのために無理な納期で徹夜の連続で作ったんだか―と九州からふてくされて帰ってきた。
 いろいろなことがあった中でも、あれは大変だったね〜と仕事仲間といまだに語りぐさになっている仕事である。
 【追記12:40】 やった〜、エンゼルス勝った〜。ヤンキースファンの人、ごめんね。でも、勘が当たったから、うれしい。仕事中なのでテレビは全然見なかったけれど(というか見ると、いつも応援しているところが負ける)、 決着がついてから見た。(エンゼルスのユニフォーム)は、熱血でいい色じゃないか。ヤンキースオーナーの来シーズンの、がむしゃらな補強が楽しみ。 ヘボな中継ぎ投手陣と、いざというときに力を発揮できないロドリゲスががんだね。あ、がんなんて言っちゃった。このような使い方をされるから、がんの人は心傷つくのである。