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ライブドアの一件があって、miyaさんはお金儲けはヘタだけど、悪いことはしないからいいや、それだけがとりえだと思ったら、 「そういえばね」と話し出した。
ギョギョギョ、留置所を体験していたなんて‥‥というお話。
■びっくら留置場体験
1982年大火災を起こしたホテルニュージャパンがまだ営業しているころ、当時バンドマンだったmiyaさんは月に数回(代役で約3か月)地下のクラブに演奏に行っていた。1976年に日本に戻り、札幌へ行く前(まだ20代の終わりごろ)だから、1978年前後の秋の話だそう。
午前2時すぎに終わってから帰るのは面倒だし、始発を待って帰ろうと、バンド仲間たちは朝までやっている近所のスナックに行った。そこにはジャックポットという硬貨を使う賭博機械があり、お金の代わりになるメダルでなく、直接100円玉を入れて遊んでいた。
無許可でそのようなことをしているのだから、賭博行為でもちろん犯罪である。
そこでみんなが興じていたら、見知らぬ人が来て「儲かりますか」ときく。「全然だめですよ、これはお金吸引器ですね」というと、とたんにその男はテーブルの脇に変な箱を置き、ピカピカとストロボが光り始めた。
「はい、みんな動かないで〜。ちょっと伺いたいことがあるので愛宕警察まで来てもらいます」
バンド仲間全員(4人)パトカーにのって警察へ。
「今日は賭博の現行犯だから泊まっていってもらうからね」
夜10時を過ぎてからの取り調べはできないことになっている。
「おっ、それじゃ宿直室なんかに泊まるのですか」
「4人も、宿直室に泊まれるの」
「私、(絶壁頭だから)パンヤの枕がないと寝られないんですよ」(←miyaさん)
「俺、いびきが……」
「パジャマはどうするの、私、サイズはLLでないと苦しくて」
「何を寝ぼけたことを言っているの。そうじゃないよ。みんなネクタイとベルトを外して、私物はこの袋に入れて。下へ行くから。ハイ、全員、入って、入って」
かくて、留置場に入れられ、鍵をかけられた。
中で毛布を広げ、
「ずいぶん毛布があるねー」
「結構、清潔だよこの毛布」
「今夜は俺たちだけみたいだね」
「酔っぱらいのヲヤジとか、覚醒剤の売人とかいないの」
「しかし、警察来たときはびっくりしたねー」
「私、暴力団がショバ代の未納を咎めに来たのかと思ったよ」
「全く。背広の着方、顔つき、体格、歩き方、話し方どれを取っても、モノホン(本物)、影が薄いね」
「写真、組事務所に飾ったら、歴代幹部で違和感全くないね」
ベチャベチャしゃべり、冗談を言い合ったりしながらギャハハハ騒いでいたら、担当係官がやってきた。
「静かにしろよ。おまえたちは賭博現行犯の被疑者なんだぞ。明日は9時から取り調べがあるから」
「スイマセン、ハイハイ寝ます」
「なんか修学旅行みたいだね」
経営者など店舗関係者は違う房に留置されている。口裏合わせなどをさせない配慮のようだ。
翌朝、8時頃に朝食が出た。アルミの弁当箱に麦入りごはん、黄色いたくわん(通称東京たくあん)3切れ、みそ汁である。このみそ汁というのが、「目玉が映るような薄いみそ汁」。
みんなはこれが話に聞くクサイ飯というものか、どんなまずいものかと口に運ぶと、意外にも旨いじゃないの、おかずが少ないから、しっかり噛んで食べると米と麦の甘みが感じられ、「健康にいいね、これは!」
「犯罪者は、贅沢な食事をしている」
「やはり、食事はゆっくりとするのがよいね」
「これで天変地異の時も、炊き出しに文句をつけることもないね」
「いろんなことを経験するのは大事だ」
などと反省の色は全くなかった。
その後、取り調べ室で、賭博行為とはかくかくしかじかと解説と説教をみっちりされ、指紋をとられ、調書に拇印を押した後、身元引受人を呼べといわれた。
だが、誰も自宅に電話したがらない。仕方がないから、じゃんけんして負けた人の家族に一括引受人になってもらおうと段取りをしていたら、警察の人たちは「あんたら本当にびびらないね〜、ふつう留置所に入ったらシュンとしておとなしくなるよ」とあきれる始末。
最後に一言、「あの〜、質問があるのですが」
「なに」
「取り調べの時、映画とかTVドラマなんかでは、カツ丼とか天丼とか取ってやるから話したらどうだね、というのをよく見るんですが」
「そんなこと聞いてどうするの」
「いえ、今日は何も出なかったので、あれは本当だろうかと妙に気になったもので」
「そんな物出ないよ!! 警察の予算にそんな物はないねー。朝食、昼食、夕食と金額が決まってるんだよ。まあ、あんまりかわいそうな被疑者の時は担当者がポケットマネーで出すことはあるけど、ごくごくまれだねー。いいの、こんなトコで」
「ありがとうございます。参考になりました」
それで、迎えがきてくれたので嬉々として戻ったが、「今度やったら次は検察庁送りのちゃんとした犯罪者(?)だよ」と念を押された。
「はい、今後は真人間になります」
「二度と戻ってきませんから。約束します」と深々と頭を下げた。
しばし後、「最後は、なんか社会派映画の出所シーンみたいだね」ギャハハハ
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